すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

便利の功罪


天野祐吉
さん  朝日新聞コラム『CM天気図』から

 あわやのところで車が止まる。
呼び方はいろいろあるようだが、何かにぶつかりそうになった時、自動的にブレーキが働くという車のCMが目立つ。
 (略)
 けっこうなことである。
「飛び出すな、車は急に止まれない」なんていう交通安全の標語は、これからは余計なお世話だということになっていくのかもしれない。
 (略)
 ま、スピードを競い合う競争から安全性を高め合う競争へ、車の業界が変わっていくのは歓迎だが、その一方で便利になればなるほど問題が増えていくということだってある。
安全性が増したことで運転がお粗末になったりすることがないとは言えないだろう。
 車に限らない。小学校の教室に備えつけた鉛筆けずりが、子どもたちから「指で考える」という大切な脳作業の機会を奪ってしまった、と花森安治さんが言ったように、便利になるということはプラスに比例してマイナスも増えていくということだ。
 (略)

 


これを読んで、あっ・・と思い出したことがあります。

朝のニュースで暮らしの身近な便利グッズを紹介するコーナーがあり、
例えば、調理器具であったり掃除用具であったりが登場するのですが、
少し前に、乳幼児のための便利グッズとして、
食事の際にお椀類やコップなどをうっかりひっくり返すのを防ぐための
ゴム製(か、シリコン製だったか?)のシート状のものが紹介されていました。
しっかり見ていなかったのであやふやで申し訳ありませんが、
つまりコースターのようにして、その上にお茶碗やコップをキュッと押し付けるように置くと、
吸盤みたいになっているのか、シートに密着された状態になって食器がすこぶる安定し、
手でちょっと引っ掛けるぐらいでは倒れないようになるのです。
小さなお子さんが自分で食べるようになった時に、
「あ~~ひっくり返しちゃった」とか「コップ倒しちゃった~」ということが避けられて、

ああ、便利ということだそうです。

なるほどね。

でも・・・・・、それじゃあ
自分の手でしっかりお茶碗やお皿を持って食べることの練習が出来ない、よねぇ。。
失敗して、ひっくり返しちゃったりこぼしちゃったりしても、それで上手になっていくのに、ねぇ。。
(・・と、ふと思う自分は、古いのかぁ?)

まあ、
便利なのでしょう。


そうだ 
歳をとったり、病気になったりして、
手や指などに不具合が出て食器が持ちにくくなった時などに、
その密着シートがあれば少しでも楽に自分で食事をとることが出来る!というなら、
うん、確かにそれは価値ある「便利」だと思います