すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

人魚姫


先月、末っ子に便乗して
劇団四季のミュージカル『リトルマーメイド』観てきました。 

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劇団四季のミュージカルは何年か前に『ライオンキング』を観たことがあります。
その時も娘たちと一緒で、本格的なミュージカルなんてほとんど初めてでしたが、
(いや、子どもの頃に “宝塚歌劇団” は観た!)
迫力ある歌やダンス、ワクワクとさせてくれるスケールの大きな舞台にとても感動しました。
ハイエナのダンス、カッコよくて最高だったな~。

そして、今回の舞台も素晴らしかった。
当然と言えば当然なのでしょうが、まず出演者全員、歌が半端なく上手!
それから、まるで海の中そのもののような幻想的な舞台美術も良かったし、
その海の空間を飛んだり漂ったりして泳ぐ様はまさに人魚。 魚類(笑) ~
海底(?)で止まっている時も、水の流れでそうなるかのように
人魚や魚たちが地道にゆらゆら揺れているのも面白くて感心しました。
歌も踊りもお芝居も、鍛錬に鍛錬を重ねた人たちの圧倒的な実力を観せて頂いた気がします。

ところで、
この『リトルマーメイド』は、人魚姫が主人公のお話ですが、
アンデルセンの書いた童話「人魚姫」とは内容が少し違っていました。
どこが違うかって、最後がハッピーエンドなのです。
人魚姫アリエルと王子様はめでたく結ばれて幸せになる、という結末。
これは少しじゃないな。だ~いぶ違う。
自分の知っている「人魚姫」はもっと残酷でもっと可哀想なお話だったから。

ある時、遭難した船から救い出した王子に恋した人魚姫は、人間になりたくて、
自分の美しい声と引き換えに尻尾を足に変える薬を海の魔女に貰う。
その時に「もし王子が他の娘と結婚することになったらお前は海の泡となって消えてしまう」と告げられる。
更に、人間の足で歩くたびにナイフでえぐられるように痛むだろうと。
人間になり王子と暮らせるようになった人魚姫だが、声を失った人魚姫は王子を救った出来事を話すことが出来ず、
王子は人魚姫が命の恩人であることに気づかない。

ここらあたりまでは大体同じなんだけど・・・

そのうち、事実がねじ曲がり、王子は偶然浜を通りかかった別の娘を命の恩人と勘違いしてしまう。
やがて、王子とその娘の結婚が決まり、悲嘆に暮れる人魚姫の前に現れた姫の姉たちが、
自分たちの長く美しい髪と引き換えに海の魔女に貰った短剣を差し出し、
王子を刺して、その流した血で人魚の姿に戻れるという魔女の伝言を伝える。
しかし、愛する王子を刺すことなど出来ない人魚姫はそのまま海に身を投げ、泡となってしまう。
そして、空気の精となって天国へ昇っていった。
王子をはじめ、そのことに気づく者は誰もいなかった。

なかなかどうして、可哀想でしょう・・・?
童話なのに、子ども向けのお話なのに、こんなに報われないお話ってどんなもんでしょう。

子どもの頃に読んだ『人魚姫』の絵本、今でも覚えています。
全編パステルカラーの綺麗な絵で、人魚姫たちやお魚たちがとても可愛らしくて。
でも、歩くたびにナイフでえぐられるような足の痛みを想像してしまったり、
最後泡になって、愛する王子様にも気づかれず消えてしまう人魚姫のことがたまらなく可哀想だったりして、
子ども心に好きなのか嫌いなのか、よくわからない読後感の残る本でした。
う~~ん、今もよくわからないなぁ。
アンデルセンさんは何を言おうとしたんだろう。


童話だけど、あまりにも悲しい結末というお話は他にもありますね。

オスカー・ワイルド幸福な王子」は金箔の王子像とツバメのお話。
貧しい人や苦しんでいる人のために自分の体の宝石や金箔を分け与えていく王子と、それを運ぶ役割をしたツバメ。
最後、王子はみすぼらしい姿になり、ツバメは南に渡ることが出来ず凍え死ぬ。
もう一つ、アンデルセン「赤い靴」もけっこうハードで、子どもの頃読んで怖かった覚えがある。

最後の最後は、大体どの場合も天国に召されて苦しみや悲しみから解き放たれるわけですが。

日本のものでは、新美南吉さんの「ごん狐」は悲しいですね・・・。
同じ新美さんの狐ものでも「手袋を買いに」は心の中が優しい温かさで満たされます。
子狐と帽子屋さんのふれあいが微笑ましくて、
人間も捨てたもんじゃないなと人間の自分も思ったものです。



だらだらと取り留めなく書いてしまいました。
大好きな童話や印象深い絵本とか、ありますか?