すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

ウチの味


NHK朝ドラごちそうさん
今週から舞台は大阪へと変わり、これからの大波乱、大騒動が容易に想像出来るような幕開けやった。
厳しくも温かかった家族と離れたった一人、
(いや正確には夫となる人と二人、電車・・いや汽車か?で大阪に向かうわけやけど)
見ず知らずの土地、見ず知らずの人たちの中へ嫁いで行くヒロインめ以子。
夫の実家に着いた翌朝から早速朝ごはんの用意をと張り切るものの、
しきたりやルールも違えば味噌、醤油の味も違い、頭パニックの初めての朝となる。
義理のお姉さんからはキッツーイ嫌み言われたりで、め以子、苦労するわ~。

そらそうやろなぁ。
“朝ごはん” ひとつとってもその有り様は家によって全然違うやろし、
その上、東京と大阪の味の違いはめちゃくちゃ大きい。
どんなして乗り越えて行くんやろ。


そんなん観てたら思い出したのが、まだ結婚前、北関東にある夫の実家に遊びに行った時のこと。
お義母さんがご飯を出してくれたんやけど、
出来たよ~と言いながら大きな両手鍋をドン!と食卓の真ん中に置いてくれて。
そしたら夫になる前の彼が「お!すき焼きか~」って。
え?と思いながら鍋を覗くと、確かに肉やら野菜やら白滝やらが煮込まれてあって。

え?でも。。これって。。すき焼き??
しかもよく見るとお肉が “豚”!
え? え? え?

頭ん中、疑問符だらけになりながら、鍋にお箸を突っ込んでは食べたのでした。
いや、お義母さんの名誉のためにも言うと、味はとても美味しかった。

けど・・、自分にとっての“すき焼き”ってこういうのじゃなかったから。

すき焼き用の鉄鍋にまず牛脂をクルクルしてとろけさせ、牛肉をジュージュー焼く。
その上に砂糖や醤油、酒を振り入れて、次に野菜、白滝なども入れ、また砂糖、醤油などを適当にかける。
しばらくすると野菜から水気が出て、全体に火が回りイイ感じになる。
あらかじめ小鉢に溶いておいた卵につけながらいただくのだ。
お肉や野菜がなくなればその都度入れて、味を見計らいながら砂糖や醤油も足し、というのを繰り返すから、
鍋奉行の父はたいして食べられないで終了するというのがいつもやった。
牛肉などは色が変わる頃合いに、父の「よし!」という合図で兄と私が奪い合って食べてしまうから、
煮込むという感じではなかったなぁ。

だから、
すき焼き言われて、鍋の中でしっかり煮込まれている豚肉が見えた時には、
大げさじゃなく、かなりのカルチャーショックやった。
ショック過ぎて、しばらく夫にもそのこと言えんかった。
結婚してから、夫が初めて私の実家で父のすき焼きを食べて、美味しいと褒めてくれて、
やっとその時の事が言えたわけで。

夫の実家の辺りはすき焼きには豚肉を使うのが普通だということ、
割り下というものがあること、
私も初めて知った、いうことです。


その後も結婚生活や義理の両親と付き合う中で、いろいろと違いに気づくことあったなぁ。
関東と関西の違いもあったし、それぞれの家のやり方や考え方も当然違ったし。
まあでも、自分のやり方や馴染んだ味にあまりに固執して人とせめぎ合う、いうのもかえってしんどいもんで。
ゆるゆる混じったり、さりげなく拒んだり、ですわ。
そもそも自分にそれほどのポリシーとか生活スタイルちゅうもんが確立されていないことが逆に良かったんかもしれんな。

あ、そうそう!夫の親と私の親。
関東と関西いうだけでなく、他にもけっこう違うタイプなんやけど、
あの“味の素”への愛着言うんか、信頼言うんか、それに関しては笑っちゃうくらいおんなじでしたわ。
食卓に当然のように鎮座させ、冷奴やらほうれん草のお浸しやら、
ついには、もう味がついてるはずのお漬けもんにまでパラパラとふりかけてお醤油かけて食べるんです。
なんや、一味違うらしいです。。