すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

ちゃーんとやれてる

 
英語圏に伝わる育児をテーマにした詩「Today」が日本語訳され、母親の共感を集めている
と新聞で読んだ。
 
翻訳したのは詩人の伊藤比呂美さん。
大学院で育児について研究していた友人が
10年ほど前、ニュージーランド子育て支援施設を見学した際、
壁に貼っていた古びたA4判の紙に目がとまり
内容にひかれて書き写したものを伊藤さんに翻訳してもらったのだという。
作者は不明、よみ人知らずで英語圏の各国に広まった「Today」
伊藤さん翻訳による日本語版「今日」はネットを通して全国のママたちに広まり2013年に絵本として出版。
これまでに1万5千部売れたそうだ。
 
 
 
今日 (伊藤比呂美 訳)
 
今日、わたしはお皿を洗わなかった
ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつは
だんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが
床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだと思う
人に見られたらなんていわれるか
ひどいねえとか、だらしないとか
今日一日、何をしていたの? とか
わたしは、この子が眠るまで、おっぱいをやっていた
わたしは、この子が泣きやむまで、ずっとだっこしていた
わたしは、この子とかくれんぼした
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした、それはきゅうっと鳴った
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった
わたしは、この子に、していいこととわるいことを、教えた
ほんとにいったい一日何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね、たぶん、それはほんと
でもこう考えれば、いいんじゃない?
今日一日、わたしは
澄んだ目をした、髪のふわふわな、この子のために
すごく大切なことをしていたんだって
そしてもし、そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ
 
 
  そうそう、ママはちゃーんとやれてるよ
 
 
遠い昔新米ママだった頃
伊藤比呂美さんの育児エッセイ良いおっぱい悪いおっぱいにはずい分と救われたなぁ。
その後の「おなかほっぺおしり」にも。
 
育児書通りにとか
母親は愛する我が子に対してこうあるべきとか
そんなものに縛られてキツキツの精神状態で子育てしていた私。
加えて家事も主婦としてこうあるべきとの固定観念に無意識に囚われ
常に“きちんと”を目指しとにかくしんどかった。
そんな時、同じく奮闘中のママ友に教えてもらったこれらの本。
そこには『ずぼら』『がさつ』『ぐうたら』な母(伊藤さんご自身)がいて
本当に大切なことさえきちんと押さえられれば後は『ずぼら』でも『がさつ』でも『ぐうたら』でもいいんだよって
そんなふうに豪快にあっけらかんと伝えてくれたんだよね。
幼い我が子や夫と向き合いながらの可笑しくも悲惨、あまりにも強烈な伊藤家のエピソードの数々に
笑い転げ、涙して読み進めていくうちに、ああ、そうなんだ・・・って
どんどん気持ちが軽くなっていく気がしたっけ。
 
それ以来、ずぼらでがさつでぐうたらな母親を通しております。。( ̄▽ ̄;)
 
今回知りましたが、2010年に良いおっぱい悪いおっぱい 完全版」が出ているそうな。
あれから25年の人生経験を積んでパワーアップした伊藤比呂美が大幅加筆、とあります。
読んでみたいな~!(´▽`)