三姉妹の長女でもあるヒロイン “とと姉ちゃん”こと小橋常子は
家族としての当たり前の暮らしを少々(否、相当?)犠牲にしてでも
商売に、社会事業に邁進した前回の朝ドラの主人公。
その生き様に勇気が湧いて、痛快な朝を戴いていたのでしたが
今回、それとは真逆とも思える「当たり前の暮らしを大切に慈しんだ家族の風景」が
しょっぱなからゆっくりと丁寧に描かれていて
正直、そのギャップに一瞬肩透かしを食らったかのような・・。
いやいや、それでもやはり良いものです。
時代は昭和初期でしょうか。
豪華な家具が並んでいるわけではないけれど
こざっぱりと整えられた家の中は気持ちの良い風が通り抜けるかの如く
どの部屋もいかにも居心地が良さそう。
家族は小さな子どもであっても一人一人役割を持ち、協力し合い
清々しい朝を一緒に迎えます。
ヒロインの家族には父が定めた家訓があります。
朝食は必ず家族皆でとること
月に一度は家族でお出かけすること
自分の服は自分でたたむこと
朝食を子どもたちと食べたいがために早出をしたくなくて
前夜、子どもたちが寝た後に職場に行って残った仕事を片付けようとする父。
月に一度のお出かけをするために上司の頼みも断る父。
そんな夫に妻は言います。
「家族で過ごすことはいつでも出来るじゃないですか」
しかし夫はいうのです。
「僕はそうは思いません。当たり前にある毎日でも、それはとっても大切な一瞬の積み重ねだと思っています。そしてそれは、いつ失うことになるかわからない。当たり前にある日常はかけがえのないものですから。」
(わかっています。わかっているんです。でも、当たり前過ぎて忘れちゃうんですよねぇ・・)
「月に一度のお出かけがこの先あと何回あると思いますか?常子(長女)が18歳で嫁ぐとしたら、あと87回しかない。そう考えると1回だって無駄にできない」
はっ!確かに。。
そんなふうに考えたり数えたりしたことないけれど
家族皆が揃って何かをする、何かが出来る期間って、確かに意外に短いのかもしれない。
我が身を振り返って、今さら実感。
それに気づかず無造作にほったらかしにしてきた気がする。
家族の時間って、いつまでも濃密なまま在るように思っていたけど、確かに、短い。
なんだか寂しい。 今ごろだけど。。
結局、こんなにも家族の時間を愛しく思った父は早くに亡くなってしまうわけで。
因みに、“とと”は子どもたちが呼んだ父の愛称で
父亡き後、ととの代わりにみんなを守るという思いで“とと姉ちゃん”なのです。
ママになられたからでしょうか。少し歌声が変わった気がします。
より一層、深~く、温か~く、優し~く、心に沁み入ります。
普段からメイクしない君が 薄化粧した朝
いつも、第一声のここのところで切なさを覚えてじーーんとしてしまうのです。
どうしてなのかわからないのですが。。