すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

赤とんぼの歌を歌った空は

 
昨日の朝ドラ『半分、青い。』。
ヒロイン鈴愛の就職祝いの会であの素晴らしい愛をもう一度を歌うシーンがありました。
お祖父ちゃん役の中村雅俊さんがギターを弾き、皆で声を合わせ。
途中から鈴愛や鈴愛のお父ちゃんお母ちゃんも涙ぐんだりするものだから
自分も、もらい泣きと懐かしさのあまりでついホロリ。
ああ、懐かしい・・・
 
ウン十年前の中学生の頃、
林間学校のキャンプファイヤーでこの歌を歌いましたが
その時は淡々と歌うのみで、それほど実感がなかった気がします。
(そりゃそう、命かけるほどの恋など未経験であったし)
今、カラオケでこの歌を歌う時、
「命かけてと誓った日から~♪」と歌いだし
決まって2番の「赤とんぼの歌を歌った空は~♪」で胸がキュ~ンとなり
俄然、感情移入されていくワタシです。
 
 
 
子どもの頃、平屋の一戸建てが十軒ほど寄せ集まった社宅に住んでいました。
隣り合った家の敷地は板塀で区切られているのですが
何故か、一箇所塀の下半分が空いており
皆はそこをくぐり、お隣さんへと行き来していました。
その先の家に行く際は「通らせてくださ~い」と少し大きな声で言いながら
よその庭を通り抜け、目的の家まで行く。
親が出かけて自分の家の門(家の大きさにそぐわず門構えだけはやたら大きかった)が閉まっている時は
どこか開いている家の門から入り、いくつかの塀をくぐり、いくつかの庭を通り
その都度「通らせて~」と言いながら我が家にたどり着きました。
途中、そこの家のおばちゃんに「お帰り~」などと言ってもらいながら。
 
そんなだから、社宅の人たちは家族のようで、子どもたちは兄弟姉妹のようでした。
自分には4歳違いの兄がいますが
お向かいの2歳上のジュンコちゃんとお隣の3歳上のヒロコちゃんには
本当の姉妹のように優しくしてもらいました。
内弁慶で我儘ばかり言っていたけど、ふたりはいつも許してくれました。
 
ジュンコちゃんの家にはパピという名の犬がいて、よく三人でパピの散歩に行きました。
あの頃、広々とした空き地があちらこちらにあり、車もそれほど多くなく。
パピを先頭に三人横に並んで、お喋りしながら、歌を歌いながら。
夕方で自分の前に長く伸びた影を必死に踏もうと走ったり
縦に並び細長い一つの影にして歩いたり。
気まぐれに拗ねた私がわざとふたりから遅れて歩いていると
いつも立ち止まり、振り返りながら「おいで~」と優しく言ってくれましたっけ。
あの時の夕日の眩しさ、つないだ手の温もり、パピの匂い。
優しさと温かさで象られた忘れえぬ想い出です。
 
 
 
愛をもう一度、と歌う寂しい別れの歌ですが
「赤とんぼの歌を歌った空は~♪」と歌う度、何故かいつも浮かんでくるのは
自分にとっての原風景とも言えるそんな幼き頃の情景で
甘酸っぱい切なさで胸がいっぱいになるのです。
 
 
赤とんぼの歌を歌った空は
何もかわっていないけれど
あの時ずっと夕焼を
追いかけて行った
二人の心と心が
今はもうかよわない
 
by 北山修 「あの素晴しい愛をもう一度」より
 
 
ただ、ちょっと違うのは
あの時皆で歌ったのはおそらく童謡“赤とんぼ”ではなく
三田明か西郷輝彦の歌謡曲だったろうこと。。
 
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