すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

あの優しかった場所は今でも

 

父の告別式を終え、帰りの車の中

カーオーディオから流れてきたのは

コブクロの ここにしか咲かない花

 

あの優しかった場所は今でも

変わらずに僕を待ってくれていますか?

最後まで笑顔で 何度も振り返り

遠ざかる姿に 唇 噛み締めた

 

あの優しかった場所はもう無いんだ

そのことをふいに突き付けられ涙が溢れました

母が亡くなり、今、父も

自分がただただ娘として愛され抱かれたあの場所は

もう待ってくれていない

そのことがたまらなく悲しかった…

 

 

今年の1月、元気だった父に最後に会った時

真冬の寒さの中、施設の外まで見送りに出てくれて

そんなことは初めてでした

じゃあね、寒いからもう中に入って

そう言って歩き出した私が振り返ると

その度に直立不動で手を振る父

いよいよ見えなくなる直前に振り返り手を振る私に

父は深々と頭を下げました

 

父にどんな思いがあったのかわかりません

何の思い入れもなく、いつもと同じさよならだったのかもしれませんが

あの時、私には父なりの深い思いのこもった最後のさよならの様にも思えて

それを振り払いながらひどく不安になったことを覚えています

 

結局、その通りになり

その後、程なくして緊急入院した父とは会えないまま

亡くなる一週間前、ベッド上の苦し気な父に5分程面会できたのが最後でした

 

いつまでも見送ってくれて

最後に頭を下げてさよならした父の姿

今はまだ思い出すたびに泣けてくるけど

ずっと忘れないでいたい愛しい思い出です

 

 

そうですね…

あの優しかった場所は今でも、そしてこれからも

自分の心の中にあり続けるのですね

 

 

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父の故郷は瀬戸内海の島です

働き始めると同時に島を出て

定年で戻ってから25年間

母と暮らした家からの眺めです

 

 

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