すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

自分の感受性くらい自分で守れ

 

10年以上前のこと。

新聞に茨木のり子さんの詩の一節が載っていた。

〈初心消えかかるのを――〉からの何行か。

衝撃的だった最後の〈自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ〉

 

当時、彼女のこと、名前くらいで何も知らなかった。

だから、いろいろ調べるうちにもっともっと知りたくなった。

あまりにも有名な詩であることを知った。

1977年刊の詩集「自分の感受性くらい」に収められているので、茨木のり子さん51才の時だろうか。

その時の自分も50才を超えていて、その歳で彼女の言葉に巡り逢ったことに間違いなく意味があると思えたし、幸運とさえ思った。

言い訳を許さないほどの真っ直ぐさで私を叱ってくれる言葉。

同時に、何か(誰か)のせいにして固く縮こまったり弱弱しく干からびる心を解放してくれる言葉でもあった。

ぐさりと刺さる厳しさで、最後は「ばかものよ」と言われながらも、肩を抱かれ熱く励まされるのを感じた。

 

「自分の感受性くらい」 茨木のり子
         
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし             

初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

 

……………

 

あれから10年以上が経ち、還暦過ぎた我が皮膚はぱさぱさに乾いている。

それは致し方無いとして、

前向きな開き直りという名目で頑固にも横暴にもなったかもしれない。

自分では動かず、暮らしや時代に愚痴ることもしばしば。

世界中が先の見えない困難の中にあり、自分的にも不安で落ち着かない一年だった。

父との別れでは後悔がつのった。

新しい年に向かい、今再びこの詩に触れて、しなやかな感受性を目指そうと思う。

 

 

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ヒヨドリさん

 

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