何気なくスマホを見ていて、とあるニュースのタイトルが目に入った。
「かつて東洋一の水上公園 コロナ禍、さよならも言えず幕」
むむ、これは……?と開いたら、やはり地元の水上公園のことだった。
1971年7月に県内初の水上公園として開業したというから、今年で半世紀。
私も学生時代には友人と、結婚してからは娘たちを連れて遊びに行ったものだ。
5年ほど前から施設の老朽化を理由に営業終了が検討され、7月、今年度限りでの閉園が正式に決まったそうだ。
新型コロナの影響で昨夏営業が出来なかっただけに、今年は入場制限など感染対策をした上で最後の営業をする予定だったが
7月半ば以降、県内でも感染者数が急増し、急遽、2年連続の営業中止となったということだ。
県公園緑地協会には、「昨年も行けなかったので最後に是非遊びたかった」「寂しい」といった声が多数寄せられているという。
娘たちが大きくなってからとんとご無沙汰だったくせに、閉園と聞いて私も寂しい。
あのプールには楽しかった思い出がたくさんある。
多分、県中南部に住んでいた多くの子どもたち、若者にとって、そうだったのではと思う。
ばあばになってからは孫たちを連れて行ってやりたいと思っていたがコロナ禍で叶わず
いつかはと思っていたのに残念である。
さいたま水上公園(埼玉県上尾市) 公式サイトからお借りしましたm(__)m
ところで、
たくさんの楽しかった思い出の中に、一つ微妙に苦さの残るものがある。
まだ夫と友人だった頃。社会人1年目だった。
どういう経緯でそうなったか忘れたが、私の地元のその水上公園に二人で行こうと。
決して近くない所に住んでいた夫が朝早く電車を乗り継ぎはるばるやって来た。
友人だったけど少し気になる相手。
映画や買い物、食事を一緒にすることは何度かあったけど、一日中、二人だけで過ごすのは初めてだった。
(ましてそれがプールだったなんて。自分の水着姿を見せるなんてハードル高過ぎ。恥ずかしさとか躊躇いとか無かったのかと、あの時の自分がちょっと信じられない(;´Д`))
それで、私は全然そんなつもり無かったのだけど、何故か母がお弁当を作ると言う。
向こうで何か買って食べるからいいと断ったが母は引き下がらない。(何しろ強引)
荷物になるからいいと如何にも迷惑そうに言っても全く意に介さず、笑顔で無理やり持たされた。
待ち合わせの駅で夫と会った時、「お弁当持って来たよ」と言うと「え……」と微妙な反応。
一人暮らし、食べ盛りの男子である。大いに喜ぶかと思いきや、何だかそうではないのが少し気になった。
それでも、水上公園では楽しく過ごした。
存分に泳ぎ、さてお昼ご飯とお弁当を広げると、興味無さそうに遠くから眺める夫。
遠慮しているのかと思い「どうぞ」と差し出すと、「じゃあ」と唐揚げ。
でも次が進まない。
また「どうぞ」と言うと、「じゃあ」と卵焼き。
「美味しい」と言ってくれるが、やっぱり進みが悪い。
「どうしたの?食欲無い?」と尋ねる私に思い切ったように言った夫。
「俺、おにぎり食べられないんだよね」
え?(⊙o⊙)どいうこと??
まず、冷たくなったご飯、食べられないんだそうだ。
巻いた海苔がしっとりしちゃっているのもダメなんだそうだ。
暑さで悪くならないように中に入れた梅干しに至っては完全にアウト。(梅干しや漬物系は絶対食べないんだと)
カルチャーショックだった。おにぎりを食べられない人がいるなんて、と。
冷たいご飯が食べられないってどんだけボンボンなんだ?(⊙_⊙;)
高校生の頃のお弁当はどうしてたの?と尋ねると、お弁当ではなく毎日お金を貰ってパンを買っていたそうだ。
娘のデート(と勝手に母は浮足立っていただろう)が少しでも楽しいものになればと母が握ったおにぎりは、そもそも二人で食べるには多過ぎる量だった。
私が2個か3個食べたか。夫は全く手を付けなかったので、ドッサリ残った。
申し訳ないと思ったのか、唐揚げや卵焼きなど、他のおかずは完食した夫。
いろいろな人がいることを改めて思い知りながらも、母になんて言えばいいのか、気が重かった。
夫と別れ家に帰ると、父が「どうやった?」。母も「お弁当、美味しかった?」と訊いて来た。
残ったおにぎりを隠すことも出来ず事情を話すと「冷たいご飯が食べられんとは情けない奴やなあ!」と父が言った。
出された食事にいちいち不満を言うな、有難く食べなさいと育てられた私なので
父の言い分にこの時ばかりは尤もと思い、夫に対し少し腹立たしさも生まれた。
一緒にいると楽で優しいところもある。
好きかもと思っていたところに、何だか違うのかなぁと不安が芽生えた出来事だった(;^ω^)
……………………
「食」に関する不安材料はあったが、その後特に大きな問題が生じることも無く結婚。
以来、夫の求めるように我が家の食卓はある。
冷たいご飯は食べさせない。梅干しや漬物系は一切出さない。(匂って存在を示す漬物は買うこともしない)
家族で食べるお弁当は必ずおにぎりとサンドイッチ(夫用)を揃えた。
健気な妻などではない。機嫌が悪くなるのが面倒くさいのだ。
「出された食事にいちいち不満を言わず、有難くいただく」ことを娘たちに教えながら
夫の好き嫌いは堂々とまかり通った。
それでも、反面教師か、娘たちは好き嫌いなく育った。
最近は夫が実家に行って不在の隙に
キムチやタクアンや白菜の漬物を買い込んでは心置きなく食べている(❁´◡`❁)
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