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『ベイビー・ブローカー』是枝裕和監督~祈りのような、願いのような


『ベイビー・ブローカー』 観ました。



監督・脚本・編集 是枝裕和


1995年に監督デビュー後、数々の作品を手掛け、多くの賞を受賞されています。

個人的には『誰も知らない』『そして父になる』『海街diary』『三度目の殺人』『万引き家族を観ました。

komakusa22.hatenablog.com


毎回ずい分と話題になるので、是枝作品、ご覧になった方も多いのでは。



公式サイトでの是枝監督の言葉です。

この『ベイビー・ブローカー』の準備をしている日々で話を聞くことが出来た子どもたち。


彼らは何らかの理由で親が養育を放棄し施設で育ったのだが、その中の何人もが、
果たして自分は生まれて来て良かったのか?という
生に対する根源的な問いに明確な答えを持つことが出来なかった。


そのことを知って僕は言葉を失った。


この世に生まれなければ良かった命など存在しないと自分は彼らに言い切れるのか?


お前なんか自分なんか生まれなければ良かったという内外の声に立ち向かって強く生きようとしているあの子どもたちに向けて、
自分はどんな映画を提示することが出来るだろう。


作品作りの中心にあったのは常にこの問いだった。


『ベイビー・ブローカー』はまっすぐに命と向き合い、登場人物の姿を借りて、
自分の声をまっすぐに届けようと思った作品である。


祈りのような、願いのような、そんな作品である。


是枝裕和


(公式サイトより)



いつもはネタバレにご注意などと言いながら
公式サイトなどで紹介されているあらすじを貼ってしまうのですが

今回はやめました。


それより、この是枝監督の言葉が全てであると思うからです。



監督が声を届けようとした相手とは……

届けようとした声とは、言葉とは……

終盤でその答えを聞かせてくれます。


……………



是枝作品でしばしば扱われるテーマに
「家族とは何?」があるように感じています。


血の繋がりがあるから家族?

血の繋がりが無くても家族?



そしてもう一つは

社会で弱い立場にいる人たちへの眼差し。

社会に蔓延る理不尽や不条理に翻弄され打ちのめされる人たちを
救わんとするかのような眼差しを、自分は感じます。



是枝監督は脚本も担当されていますが

是枝裕和という人の根底にある一貫した思いなのかなと受け取っています。



この世の中には
目に見えるものと
隠れて見えないものがあり

力を持つ者の狡猾さは隠れて見えず
力を持たない者の、持たないがゆえに犯す罪だけが晒されている


いったい何が悪なのか?

語られるべき本質は何なのか?


それを声高に糾弾しているわけではないのに
観客は自ずと問いかけられる



観終わった後、
心に鈍く残るのはいつも自分で整理のつかない感情。
悲しくて、腹立たしくて、切なくてたまらない。
身悶えするような無力感に沈むこともありました。



それでも、

最後にはほんの僅かでも救いや希望を感じさせてくれる。


その救いや希望の中に是枝監督の祈りや願いが込められているのだと思います。



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