すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

「心の旅」~ポケットにつめこんで


先日、テレビにチューリップ財津和夫さんが出演されていました。


デビュー50周年記念のツアー、でありつつ
チューリップとしては最後の全国ツアーの
ライブの模様や、その裏側に密着。

そして財津さんへのインタビュー。

意外と思えるほどのネガティブな感情もさらけ出し
今の正直な思いを言葉にする財津さんでした。


若い頃、チューリップの歌は身近にあり
今でも歌える歌がいくつかありますが
その後の彼らの活動はあまり知らず
5年前、財津さんが大病を患い、療養を余儀なくされていたことも知りませんでした。

その後、復活したもののコロナ禍で活動休止。

そんな中、最後のツアーにしたいと言った財津さん。
それを受け入れた現メンバーの姫野さん、上田さん、宮城さん。

メジャーデビュー当時のオリジナルメンバーでもある姫野さんや上田さんの姿
懐かしかったです。


思えば、チューリップはメンバー脱退、解散、再結成を繰り返したグループでした。
姫野さん、上田さんも一度は脱退。
その後、再結成で戻って来られたんですよね。

ただ一人、チューリップであり続けた財津さん。

よくは知らないけれど
常に先頭に立ち、己が良しとする音作りに拘り
時に強引なまでにメンバーを引っ張って来たのかなと。

そんな財津さんについていけないと離れていったメンバーたちだったのかなと。

もちろん真実は私などにはわからないけれど
当時、あれこれを見聞きし、そんなふうに思ったりしましたっけ。


ライブの最後はメジャーデビュー曲の「魔法の黄色い靴」(1972年)。

長年応援してきたファンが詰めかけた会場で
ファンの流す涙を見て、泣いて歌えなくなってしまった財津さん。

強気を秘め、いつも平然として見える彼の、これもまた意外な一面を見た気がしました。


ああ、意外と言うのは違うのかも。

ネガティブな部分も、もらい泣きするところも
財津さんの、実は「本当」だったのかもしれないし。


今回のライブでも歌われていた博多っ子純情(1977年)。
その中に、こんなフレーズがあって


男達はとても見栄っ張りで気が強い
海の風に吹かれるから
だけどみんなすぐに貰い泣きするような奴
酒を飲んで肩をたたく


そうかと改めて気づくのですが
財津さんもまさに博多の男なんでしょうね。

ちなみに、この曲の作詞はオリジナルメンバーの安部さん(2014年逝去)です。



ライブ映像で「心の旅」(1973年)、「銀の指輪」(1974年)、青春の影(1974年)、サボテンの花(1975年)、「虹とスニーカーの頃」(1979年)など流れましたが

自分にとって一番思い出深いのは「心の旅」でしょうか。


関西に住んでいた中学3年の夏休み、クラス全員で2泊3日で行った淡路島。

私は1学期いっぱいで他県に転校することが決まっていて
クラスメートと過ごせる最後の3日間でした。

海で泳ぎ、スイカ割りをし
夜には花火をし、墓地で肝試しをした。

思う存分楽しんで、でも帰りの船では友達と別れることを考えて、悲しかった。

そんな時、聴こえてきたのが「心の旅」でした。


あーだから今夜だけは君をだいていたい
あー明日の今頃は僕は汽車の中

旅だつ僕の心を知っていたのか
遠く離れてしまえば愛は終わるといった

もしも許されるなら眠りについた君を
ポケットにつめこんでそのままつれ去りたい


やがて旅だつ自分だけど
でも自分は「僕」でもないし
まして自分を「君」と言ってくれる「僕」もいないのに

歌の中の「僕」のような「君」のような気分で
その時ちょっと好きだった人を思いセンチメンタルに浸ったこと、思い出します。

ポケットに詰め込まれ連れ去られるシチュエーションは幼心にも胸キュンでした。


それにしても「心の旅」

歌詞とメロディが
それ以外無いというぐらい
これ以上無いというぐらい
一致しているというか、はまっていると思いませんか?

情感の盛り上がりや揺らぎがそのまま旋律にのっている。

そう感じます。

作詞作曲は財津和夫さん。


チューリップが登場した時
それまでの日本の音楽シーンに無かった独特さにカルチャーショックを覚えたものです。

拘りぬかれた音作りを感じさせる楽曲ばかりですが

中でも「心の旅」は
拘りを一周回り、逆に意図的な拘りを削ぎ落としたかのような

Simple is bestの名曲だなあと今さらの様に思うのです。




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