すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

サラリーマンになる

 
先日、
劇作家、脚本家、演出家、俳優、映画監督であられる三谷幸喜さんが
今の仕事をするようになったルーツを尋ねられて
小学生の頃から脚本を書いて友だちと劇作りをしていたとか
もっと幼い頃、家族と一緒に8ミリカメラを自ら回しながら動画を作っていたとか
話していらっしゃるのを聞いて、ふふっと思い出しました。
 
 
 
小学4年生の時のクリスマス会だったかお別れ会だったか
クラスの皆がそれぞれ出し物をすることになりました。
内容は全く自由。
リコーダーで合奏したり、ダンスを踊ったり。
日頃おとなしい男子が一人で手品を披露し感嘆の声があがったかと思えば
おちゃらけ男子二人組の締まりの無い漫才には皆困ったような笑い顔だったり。
 
そんな中、私たち女子6人組が選んだ演目は劇。
どういう経緯だったか憶えていませんが、私が脚本家として任命されました。
それでまたどういうことでそうしたのか全く憶えていないのですが、サラリーマンを描く脚本を書いたのです。
父がサラリーマンだったから、かもしれません。
 
社長、専務、部長、課長、平社員が同じフロアで仕事をし、そこに取引先のお客が来る。
そこでのやり取りをセリフにしました。
実際のところは知らないのでテレビドラマなどで見たのを参考にして。
仕事が終わると皆でパーっと飲みに行くのです。ここは日頃の父の行動が元となっています。
バーにはママと称される女性がいて、お酒を呑みながらなんやかんやと喋る。
そういう劇です。
それだけの劇です。
 
衣装や小道具には凝りました。
背広やネクタイを父親などから借り、黒カバンを持ち、髪型は七三分け。
おもちゃの電話機をいくつか机に並べ、社長、専務といったプレートも手作りしました。
バーのシーンでママ役の子は家から持ってきた着物を着ました。
髪型も多分こんな感じということでアップにまとめ
徳利とお猪口、グラスとビール瓶までセッティングしてのサラリーマンの飲み会。
小4の女の子たちがそれを得々と楽しげに、且つ真剣に演じてみせたわけです。
 
何度も言いますが、どうしてそれをしようと思ったかは憶えていません。
これはウケると思ったのかもしれません。
実際、
無理難題を言う取引先のお客とのやり取りや
仕事終わりに羽目を外すサラリーマンとバーのママとの絡みのシーンでは
大爆笑をいただくことが出来ました。
 
今思うと、
小4の女の子たちが描くサラリーマンの実態を
小4のクラスメートと担任の先生が見て何だか笑っちゃうという
何とも不可思議な感がありますが。。
 
 
ところで、仲良し6人組。これをやるにあたり、少々モメることがありました。
配役です。
「社長」を是非やりたいという子が二人いて。
社長と言っても特別セリフが多いわけではなく、単なる肩書きです。
社長の席に座っているというだけで、他の役職と代わり映えしません。
取引先のお客やバーのママの方が断然セリフも多いし目立つのですが、「社長」がイイのだと強く訴える二人。
長い話し合いの末、ジャンケンをして決まりましたが、負けた子は当然のように「じゃあ専務」と望んだのでした。
どんなに幼くてもそういったステータスを求める子って、いるんだなぁ。
 
他のメンバーにはあまりそういった野心はなく、順々に部長、課長と決まり
日頃から芸達者ぶりを見せてくれていた子には、演技力が求められる取引先のお客とバーのママの二役をお願いし
私は残った平社員ということでなんとか落ち着いたのでした。
 
ちなみに、
配役決定会議は我が家でなされたのですが
子どもながらに社長の席を争う様子をふすま越しに聞いていた母が後に
「あれはなかなか面白かった」と思い出しては言っていましたっけ
 
 
その後、6年生のクリスマス会でも脚本を書いて、お笑いのコントをしたことがあります。
その時も前述の芸達者な友だちともう一人と組んで、そこそこの笑いをいただきました。
脚本も思いのほか反響を呼んで、職員室で回し読みされたとか。
 
なーんて、ちょっと自慢入っちゃいましたか。。失礼しました
 
とは言え、
そんな経験も将来の脚本家には一切結びつかず
つまらないことでウケようとして家族にうんざりされる呑気な主婦となりました