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映画『MINAMATAーミナマター』


映画『MINAMATAーミナマター』を観た。



www.youtube.com

ジョニー・デップが、全世界に関わるある重大なメッセージをハリウッドから発信する。
伝説の写真家ユージン・スミスと当時の妻が、1975年に発表した写真集「MINAMATA」の映画化だ。
ユージン・スミスは、今尚注目される史上最も偉大なフォトジャーナリストの一人、そんな彼が日本の公害病水俣病”を取材した写真集である。
ジョニーは今もまだ続く水俣の危機に当てたスポットライトで、各国で同じ環境被害に苦しむ多くの人々をも照らし出そうと、主演し自らプロデューサーにも名乗り出た。
共演は英国の名優ビル・ナイに、日本からは真田広之國村隼、美波、加瀬亮浅野忠信、岩瀬晶子と、国際的に高い評価を受ける実力派が集まった。
また、音楽は産業公害に強い関心を持つ坂本龍一が同じ志を持つ者として引き受けた。

人々の暮らしに寄り添ったユージンの瞳とカメラを通して私たちが見るのは、闇に包まれた苦難の瞬間にも、光として浮かび上がる人間の命の輝きと美しい絆。
警告と希望を焼き付けた、今こそ体験するべき一本が誕生した。(公式サイトより)


2020年にアメリカで制作された映画である。
日本の問題を日本人が描かず
アメリカ映画によって伝えられることの
複雑な思いが生じるのは自分だけか。

決して否定的な感慨ではない。
日本人がしてこなかったことを
こうして世界に発信してくれた。
言える言葉は感謝だろう。

情けなさを滲ませつつ。

そもそも水俣病
水俣病に苦しむ人々の闘いが
世界に大きく伝えられるようになったのも
アメリカ人の写真家によってなのだし。

(などとどうでもいいことを。自分もその日本人の一人)


昭和の高度経済成長期に子ども時代を過ごした。
水俣病という公害病のことはもちろん知っていた。
学校の授業や新聞、テレビなどで、教わり、知識を得、映像なども観た。
子ども心に非常に衝撃を受けた。
しかし、いつの間にか終わったこととして
自分の頭の中では無いものになっていた。


今回、
この作品を観ることでより明確に自分に突き刺さり、改めて知ったこともある。
水俣病のこともだが、それに苦しむ人々とその闘いについて。
また、自分が生まれる前からの長い年月に渡る水俣病の歴史があったこと。
そして、今も問題は続いていること。
まだ終わっていないのだった。


実はこの作品についての地元の反応は複雑でもあるようだ。(Wikipediaより)

主要な舞台である水俣市は、先行上映会の後援を依頼された際
映画が史実に即しているかや製作者の意図が不明であり
被害者への差別や偏見の解消に貢献するか判断できないことや
水俣病を過去のものとして忘れたいと考えている市民がいることから
後援が適切か不明なことを理由に後援を拒否したそうだ。

一方で熊本県側は「世界的に発信されることに意義がある」として上映会の後援を承諾している。

9月18日に水俣市で先行上映会が行われ
ユージン・スミスの妻アイリーンは舞台挨拶の中で脚色された部分について
「史実と違う部分はあるにしても、著名な役者が演じた映画を通して、水俣病の根底にある問題を広く世界に知って貰うことの意義は大きい」と語った。


今さらだがストーリーはこうである。

1971年、ニューヨーク。アメリカを代表する写真家の一人と称えられたユージン・スミスは、今では酒に溺れ荒んだ生活を送っていた。
そんな時、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれる。
水銀に冒され歩くことも話すことも出来ない子供たち、激化する抗議運動、それを力で押さえつける工場側。
そんな光景に驚きながらも冷静にシャッターを切り続けるユージンだったが、ある事がきっかけで自身も危険な反撃にあう。
追い詰められたユージンは、水俣病と共に生きる人々にある提案をし、彼自身の人生と世界を変える写真を撮る──。(公式サイトより)


とある映画サイトでは
ユージン・スミスと妻アイリーンの伝記ドラマ」と紹介している。

確かにストーリーはある。映画だから。脚色もあるだろう。
「ユージンとアイリーンの伝記」には一瞬(?)だが
うーん、まあ、そうでもあるのか……。

そして何より
ユージンを演じるのは天下の大スター、ジョニー・デップ


しかし、この作品から私が受け取ったのは
ユージン・スミスの物語」というような枠を超えていた。

大好きなジョニー・デップが主役で
またいつもの様に役にのりうつる見事な演技を見せてくれる。
ということも、次々と移り変わる映像に集中しながら
いつしか意識の外にあった。

ジョニー・デップは主役でありながら、ジョニー・デップとしてのオーラですらも作品の中では消えていたように私には思える。それってある意味凄い。さすがジョニー・デップ


作品の真ん中に存在するのは
水俣病と、水俣病に苦しみ闘う人々。

私にはそう伝わった。



広く世界の人々に知ってもらうことの意義は大きい


※↓本編には何の支障もありませんが、一切のネタバレ無用の方はスルーしてください。m(__)m



エンドロールではこれまで様々な国で起こった環境被害が映し出された。
世界中にこんなにも多くの環境被害があること
そしてこんなにも多くの罪も無い人々が苦しんでいる現状があることを知らなかった。

情けない限りだが、それでも、こうして知ることが出来た。

この作品の意義は間違いなく大きいと思う。



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坂本龍一さんの音楽が本当に素晴らしかった。
場面場面に流れる音楽にその都度心震わされ
作品の伝えんとするテーマが深く、強く、悲しく、迫ってくるようだった。


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