今日の夕食はドライカレーだった。
初めてドライカレーを作ったのは、社会人になって2年目の一人暮らしのアパートで。
泊りがけで遊びに来た友人に教えて貰ったのだった。
二つ年下の彼女とは同期入社。
お人形さんのような可愛らしい顔立ちと流行を取り入れたお洒落な装い。
それまで自分の回りにはいなかった人種(笑)と思われ、初対面の時、内心戸惑ったものだ。
けれど、思いのほかひょうきんで笑える人だった彼女とはすぐに仲良くなった。
私たちのやり取りをまるで漫才みたいだと先輩たちは笑い
私自身もボケとツッコミの会話を心ゆくまで楽しめる相方だった。
その彼女が初めて私の部屋に遊びに来た時、ドライカレーを一緒に作った。
作ったこともなければ、ドライカレーがどんなものかもぼんやりだった私。
彼女に教えてもらいながら、狭い台所でおままごとの様に楽しかった。
短大の家政科を卒業した彼女のレシピはすこぶる簡単で
料理などほとんどしてこなかった私でも容易く出来る。
なのに、初めてのドライカレーは最高に美味しかった。
その時のレシピで今もドライカレーを作っている。
忘れっぽい私だがレシピノートに残さずとも頭の中に残っている。
そして、毎回、彼女を思い出している。
……………
ところで、にほんブログ村の住民である私。
ランキングのページを見ていたら、過去記事のところに自分の記事を見つけた。
ちょうど1年前の今日、我が家の定番、納豆スパゲッティについて書いている。
書き出しは「今日の朝食は納豆スパゲッティだった」。
実はそれも彼女の和風スパゲッティのレシピをアレンジしたもの。
スパゲッティに大根おろしという組み合わせを教えてくれたのは彼女だった。
図らずも去年と今年、同じ日に彼女の教えてくれた料理を作りながら彼女の事を思い出したこと。
何だか不思議。
そこに意味がある気がして、ほろ苦くもある。
去年の記事で、彼女のことに触れている。
そんなわけで、今朝、納豆スパゲッティを食べながらふと彼女のことが浮かんだ。
結婚し10年を過ぎた頃だろうか。義実家とのストレスで心身共に不調をきたし、ふさぎ込むように家から出られなくなってしまった彼女。
こちらからの訪問もやんわり断られて、それ以来会えていない。
私が家事、育児、仕事にと忙しく駆け回っていた頃、夕方の一番忙しい時間によく彼女から電話がかかってきた。
「忙しい時間にごめんね」とこちらを気遣いながらポツリポツリと話す彼女に、私は気忙しさが伝わるような対応をしていたかもしれない。
後に思えば、その頃から彼女の中ではギリギリの精神状態だったのだ。
そのことに気づかず、わかろうとせず、自分の忙しさばかりが大変だった私。
どうしてもっと親身に話を聞いてあげられなかったのかと今さら悔やんでも遅く、彼女の心の扉は固く閉じてしまい、開いてはくれない。
パッチリとした目の愛らしい人で、いつも周囲に気を遣っていた。
気を遣い過ぎるあまりストレスも多く、仕事終わりに飲みに行くと次から次へと愚痴がこぼれた。
私に心を許し内面をさらしてくれることが嬉しく、彼女のストレスを精一杯晴らしてあげたいと思ったものだ。
いたずらっ子の顔で小さな毒を吐きながら、心の底から晴れ晴れとしたように笑う彼女の笑顔が懐かしい。
今は少し哀しくも思えるそんな笑顔に、また会えたらと祈るばかりだ。
何の進展もなく一年が過ぎたということ。
無理強いにならないか。それが心配で動けないでいる。
大相撲の魅力を教えてくれたのも彼女だった。
おかげで私も40年来の相撲女子(スー女)。
国技館で一緒に相撲観戦出来たなら、どんなに楽しかろうと思う。
“ペコちゃん”こと、元大関琴風(尾車親方)の大ファンだったから、尾車部屋の閉鎖や親方の定年のニュースに寂しがっているのではと
彼女のことを思い出したのだった。
↑こちらのドライカレーはカレーをご飯に混ぜ込んで炒めたタイプですが、我が家のはご飯にトッピングするタイプ。
ひき肉とみじん切りした玉ねぎや人参などを炒め、軽く塩した後、小麦粉を振り入れます。そこにトマトジュース1缶を投入。コンソメキューブとローリエを加え煮込みます。イイ感じになったらカレー粉を振り入れ、しばらく煮込んだら最後に味を調えて出来上がり。簡単でしょ( ̄▽ ̄)