すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

納豆スパゲッティを食べて

 

今日の朝食は納豆スパゲッティだった。

昨夜、冷蔵庫の中身を食べ尽くして、あるのは納豆。野菜室には大根と胡瓜。それにツナ缶があるとなれば、我が家の食卓にはかなりの確率でそれが登場する。

 

ブログにも度々書いているが、夫は無類の納豆好き。

いかにも手抜きのメニューでも、そこに納豆を一品加えるとあっさり納得…どころか満足してくれるので、ズボラ妻はますますズボラになる。

納豆パック1個を各自パックのままかき混ぜてご飯の上に載せるのが通常だが、たまに別の器に割り入れた生卵をプラス。

「ええ!いいの?卵付き⁈」と喜ぶ夫。味付け海苔を添えたら「ご馳走だね!」と。

そこまでいくと(もしや嫌み?)と思わなくもない。

以前、「納豆」のお題で記事を書いていた。一時期流行った納豆ダイエット失敗談である。お時間とご興味があれば( ̄▽ ̄) 

komakusa22.hatenablog.com

 

離乳食に納豆ご飯を食べた娘たちも納豆好き。

納豆メニューで好評だったのが納豆スパゲッティだった。

茹で上がったスパゲッティを適量のバター(マーガリンでもOK)で軽く和え、大根おろし、納豆、ツナ、胡瓜、焼き海苔(細く切ったもの)をトッピング。

全体に醤油を回しかけ(かけ過ぎないよう注意)混ぜながら食べるという、何のひねりもないスタイルである。

味付けが醤油だけって、どうなの?と思われるかもしれないが、大根おろしが他の食材の旨味を絡め合わせるナイスな役割をして、少量の醤油のみでも十分な美味しさなのだ。

納豆のねばりが麺に絡みつく食感も納豆好きにはたまらない。(納豆が好きでない人には理解し難い感覚だろう)

 

 

ところで、我が家の納豆スパゲッティの発祥は友人が作ってくれた納豆の入らない和風スパゲッティだった。

会社の同期だった二つ年下の彼女。

結婚し専業主婦になった私たちはそれぞれの家を行き来し、お互いに覚えたばかりの手料理をふるまうなどして、新米主婦時代を共に過ごした。

学生時代家政科だった彼女は、レシピを考案しスーパーなどに提供する仕事をしていて、ある日、その一つの和風スパゲッティをご馳走してくれたのだ。

「簡単なんだよ」と笑いながら出してくれたそれは、大根おろしとツナをスパゲッティと和え、カイワレと焼き海苔をたっぷりトッピングした確かにシンプルなもの。

しかし、いくつかの調味料で味付けしたと思われる和風のソースが絶妙で、それが大根おろしに絡んで本当に美味しかった。

当時、スパゲッティに大根おろしという発想が全く無かった私だったが、これはイケると早速我が家でも作ってみたのだった。

 

その原型が姿を変えたのが我が家の納豆スパゲッティである。

納豆が加わったのは割と早い段階だった。

カイワレもいいが胡瓜の塩揉みはどう?となり、そのうち胡瓜の輪切りをそのままトッピングするようになった。

彼女のレシピは大根おろしとツナを初めからスパゲッティと混ぜ、手製の和風ソースで和えたもの。

多分私も最初はそうしていたと思うが、いつしか、茹でたスパゲッティの上に大根おろしを土台に他の食材をただ積み重ねそこに醤油を垂らすという調理法(と言えるかどうか)へと移行。

各々好きなように混ぜて好きなように味付け(醤油のみだが)してちょうだいと、母ちゃんは楽をする。

ただ、大根おろしは必須。どんなに面倒くさくても怠ってはいけない。

そうすれば文句なく美味しい。

納豆好きアルアルで、納豆好きな人間は納豆が入っていればどのような形になっても美味しいということかもしれないが。

 

 

そんなわけで、今朝、納豆スパゲッティを食べながらふと彼女のことが浮かんだ。

結婚し10年を過ぎた頃だろうか。義実家とのストレスで心身共に不調をきたし、ふさぎ込むように家から出られなくなってしまった彼女。

こちらからの訪問もやんわり断られて、それ以来会えていない。

私が家事、育児、仕事にと忙しく駆け回っていた頃、夕方の一番忙しい時間によく彼女から電話がかかってきた。

「忙しい時間にごめんね」とこちらを気遣いながらポツリポツリと話す彼女に、私は気忙しさが伝わるような対応をしていたかもしれない。

後に思えば、その頃から彼女の中ではギリギリの精神状態だったのだ。

そのことに気づかず、わかろうとせず、自分の忙しさばかりが大変だった私。

どうしてもっと親身に話を聞いてあげられなかったのかと今さら悔やんでも遅く、彼女の心の扉は固く閉じてしまい、開いてはくれない。

 

パッチリとした目の愛らしい人で、いつも周囲に気を遣っていた。

気を遣い過ぎるあまりストレスも多く、仕事終わりに飲みに行くと次から次へと愚痴がこぼれた。

私に心を許し内面をさらしてくれることが嬉しく、彼女のストレスを精一杯晴らしてあげたいと思ったものだ。

いたずらっ子の顔で小さな毒を吐きながら、心の底から晴れ晴れとしたように笑う彼女の笑顔が懐かしい。

今は少し哀しくも思えるそんな笑顔に、また会えたらと祈るばかりだ。

 

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