すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

「そうめん」買おう!

 

今週のお題「そうめん」

 

亡くなった両親は香川県の島出身。私も兄も島で生まれました。

父の仕事の関係で島を出たのは私が2歳の頃。

それ以来、各地を転々とし、兄と私は島で暮らすことはありませんでしたが、父の定年に伴い両親は生まれ育った故郷に戻りました。

そんな両親が毎年夏の初めに送ってくれたのが島の名産品でもある「そうめん」でした。

 

当初は「そうめん」を作っている知り合いに頼んでだったか、後にそちらが廃業してからは島のスーパーの贈答コーナーからだったか、何しろ毎年判で押したように「そうめん」は送られて来ました。

うだるような暑さで食欲が今一つ湧かない時や、簡単に昼食や夕食を済ませたい時に「そうめん」は重宝しました。

娘たちがまだ家にいた頃は、一人2束を5人分で最低でも10束。大鍋にたっぷりのお湯で湯がくわけだから、そりゃもう汗だく。

ゆで上がった「そうめん」を冷たい水にさらし、水を流しながら雑巾を洗うように(←母がそう言ったんですよね)もみ洗い。

麺が冷たく締まったところで器に盛り、水を張り氷を浮かべる。

薬味にはネギやゴマ、生姜など。

祖父母の代からそれが定番だったので、「そうめん」をおすそ分けした友人宅で、茹でるから一緒に食べようとご馳走になった時、千切りのハムや胡瓜、油揚げ、錦糸卵も添えられていて驚いたことがあります。

うん?冷やし中華?と内心思いながらもとても美味しかったので、その後我が家でも真似しました。

お手軽とは言え、暑さの中、汗だく必至で「そうめん」を茹でることには毎回ちょっと躊躇うのだけど、つゆと薬味をまとった冷たい麺がツルツルと喉を通る時、安定の美味しさにやっぱり作って良かったと満足するのが常でした。

夏に食べ切れなかった「そうめん」は冬ににゅうめんにしたり。

湯がいて残った「そうめん」を味噌汁に入れるのも我が家の定番で、少しとろりとした優しい美味しさに心がホッと温かくなるのでした。

 

島の名産品として全国的に有名になった「そうめん」ですが、私にとってはあまりに身近で当たり前な存在。

友人たちにおすそ分けする際に、「特に珍しくもないけど、良かったら貰ってくれる?」と心からそう思って言うと、「ええ、いいの?悪いわ~。こんな珍しいもの」と言われるのです。

もちろんお世辞もあるでしょうが、本当にそう思っている友人もいて、「そうめん」がそんなに喜ばれるんだと思ったものです。

確かに美味しい。独断と偏見かもしれませんが、故郷の島の「そうめん」は「そうめん」界のトップ・オブ・ザ・トップと思ってもいます( ̄▽ ̄)

こしの強さ。それでいてツルツルと繊細な喉ごし。もちもちとした歯応えがイイ。

ですが、やっぱり私にとっては至極当たり前の、特別感の薄い存在でしたから、贈答品としての価値にも正直ピンと来なかった。

なので、両親が毎年送ってくれる「そうめん」にもそれほど有難みを感じないバカな私でした。

(後々、けっこうなお値段が付いていることを知り、へえ~~⁉って(;^ω^))

 

娘たちが巣立ち、食べる人間が減ると、余るようになった「そうめん」。

毎年決まったように送ってくる母に「もうあんまり食べないから送って来なくていい」と言ったりしました。

「余って困るんだよね」とも。

母の思いを踏みにじる失礼で冷たい物言いでした。

それでも両親は、高齢となり兄の近くで暮らす為に島を離れるまで「そうめん」を送り続けてくれました。

 

最後に島の「そうめん」を食べたのはもう何年も前。

両親からの「そうめん」が届かなくなってから食べていません。

ネット通販で手に入れられるのはわかっていますが、何だかそういう気になりませんでした。

昨年の秋、両親の法要の際、兄夫婦と「そうめん」の話をしました。

あの「そうめん」美味しかったよね。兄も「また食べたいね」と懐かしそうに言いました。

届かなくなって、今さらだけどその有難みをしみじみと思います。

毎年必ず私たちに送り続けてくれたこと。

なのに、私はたいして感謝もせずに。

母の気持ちにきちんとありがとうって言えばよかった。

幼稚で愚かな自分が悔やまれます。もう遅いけど。

 

 

今週のお題を見て不意に思ったのです。

「そうめん」買おう!

小豆島手延べそうめん

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遠くに見えるエンジェルロード(小豆島)

 

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