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『オッペンハイマー』~「原爆の父」と呼ばれた男


映画オッペンハイマー観ました



ダークナイト」「TENET テネット」などの大作を送り出してきたクリストファー・ノーラン監督が、原子爆弾の開発に成功したことで「原爆の父」と呼ばれたアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材に描いた歴史映画。
2006年ピュリッツァー賞を受賞した、カイ・バードマーティン・J・シャーウィンによるノンフィクション「『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」を下敷きに、オッペンハイマーの栄光と挫折、苦悩と葛藤を描く。


第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになるが……。(「映画.com」より)


第96回アカデミー賞(2024年)では同年度最多となる13部門にノミネートされ
作品賞、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞の7部門で受賞


「原爆の父」と呼ばれたオッペンハイマー

の名前は多分何処かで聞いたことがあったでしょう。

タイトルそのものとなった彼の、

何故原爆を開発することになったのか

どの様にして開発に成功したのか

どの様な過程で日本に落とすことに関わったのか

戦後、彼はアメリカ社会で「原爆の父」としてどう扱われたのか

そして、彼自身は原爆を開発し日本に原爆を落としたことについてどのように語ったのか

が知れる内容だろうと単純に想像し、観に行ったのですが

正直、とてもわかりにくいという印象を持たざるを得ませんでした。(自身の理解力不足もあるでしょうが)


カラーとモノクロが行き来する映像

時系列があちこちに飛んで、カラーが現在でモノクロが過去なのかと思いきや、そうでなく

オッペンハイマーと原爆開発”“「原爆の父」としてのオッペンハイマー”が唯一の視点かと思いきや、うーむ、そうでもなく

もちろん、原爆開発プロジェクトが成功(日本人として言いにくい表現である…)に至るまでの流れは描かれているのだけど

それとはかけ離れた感のあるシチュエーションも随時差し込まれていて

スクリーンを観ながら何度も迷路に入り込んだ様な感覚に陥りました。(繰り返しますが、自身の理解力不足なのでしょう)


これはもう一度観ないとダメかなと思いましたが

帰宅後、ネットで解説を読んだり、それこそWikipediaを熟読し、物語の流れや脚色を理解した次第です(苦笑)

なんだ、そういうことかと腑に落ちましたし、自分が知れるだろうと思っていた内容も確かに描かれてあった。(Wikipediaを読んでようやく理解するというのも情けない話です^^;)


……………


ここからは全く個人的な、日本人としての偏りもある、しかも理解力不足人間の受け止めですが

日本人が日本のテレビや映画などで観てきたいわゆる「原爆もの」とはやはり違う。

原爆被害の悲惨さをきちんと描いたかと言うと、そうとは言えないのかもしれない。

日本人は今まで見てきたもの、学んだもので想像出来るけれど

果たしてこの映画を観た外国の、アメリカの観客でさえ、原爆被害の実情を知らないままの人は多いのだろうなと思いました。


実は、作品を鑑賞後、熟読したWikipediaにも「被爆地描写が無いことに関しての是非」について記されていました。

一部、批判や指摘が発生していることに対し、ノーラン監督や映画評論家の反論も紹介されていました。

その中で、実際の原爆被害者の方の言葉もありました。

長崎県被爆者手帳友の会会長の朝長万左男も前述の長崎での特別試写会において、
「原爆被爆者の映像が取り入れられていないことはこの映画の弱点かと思いましたが、実はですねオッペンハイマーのセリフの中に何十カ所も被爆の実相にショックを受けたことが込められていました。あれで僕は十分だったと思うんですよね」とコメントしている。(Wikipediaより)


日本人が既に抱く「原爆映画」とは違う

反戦」を描こうとしたわけでも、ない?

一体何を描こうとしたの?

鑑賞直後はそんな思いが沸きましたが

今、日にちが経過し振り返ると、浮かぶのはオッペンハイマーの苦悩の表情。

正しいとか過ちとか、一つ一つ明確にすることなく、オッペンハイマーの視点で淡々と描く。

それでも最後、究極の彼の言葉でしめた。


「我は死神なり、世界の破壊者なり」


それがこの作品の、監督の、意思だと思えば、ホッと胸をなでおろすような、そんな気持ちになりました。


……………


日本に原爆を落とし勝利したアメリカ。

祝勝パーティーのシーン、明るい笑顔で喝采する彼らは、その時、日本人の悲惨な状況など知らないのだろうなと思うと、心が傷つくのを感じました。

80年近くも前の、しかも映画の1シーンに、リアルで強烈な違和感(或いは嫌悪感)を覚えたのは正直なところ。

ただ、同時に、日本もそうして他国を破壊し他国の人々を傷つけ、万歳、万歳と祝ってきたんだよなと思うわけです。



※観た映画について書くのは自分にとって楽しい事ですが、今回『オッペンハイマー』についてどう書こうか、どう書けばいいのか、そもそもこの作品を自分は理解出来ているのか、とても悩みました。
もしかしたらきちんと理解出来ていないものを、記事にしていいのかとも思いました。
観ている最中の全く個人的な感情や感覚をただそのまま並べただけの内容。
客観的な考察や理解には至っていない中身。

ですが、この作品を観て、感じたことを忘れてしまうのは残念なので
そのまま残そうと思います。



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