『銀河鉄道の父』 観ました
小説家・門井慶喜が宮沢賢治の父である政次郎を主人公に究極の家族愛をつづった直木賞受賞作「銀河鉄道の父」を、「八日目の蝉」「いのちの停車場」の成島出監督のメガホンで映画化。
岩手県で質屋を営む宮沢政次郎の長男・賢治は家業を継ぐ立場でありながら、適当な理由をつけてはそれを拒んでいた。
学校卒業後は農業大学への進学や人工宝石の製造、宗教への傾倒と我が道を突き進む賢治に対し、政次郎は厳格な父親であろうと努めるもつい甘やかしてしまう。
やがて、妹・トシの病気をきっかけに筆を執る賢治だったが……。
(「映画.com」より)
タイトル通り、宮沢賢治の父政次郎が主人公と言えばそう。
演じたのは役所広司さん。
我が子への愛を全面に描いた作品です。
それと共に、私の知らなかった賢治の姿を見せてくれた映画でした。
「宮沢賢治」という名前を聞いたことのない日本人は少ないのではないでしょうか。
ただ、この作品を観て、自分は彼のことをたいして知らなかったと思わされました。
(もちろん、彼の作品のみならず、生い立ちやその後の人生など、よくご存じの方は多いと思いますが)
菅田将暉さん演じる、繊細で、優しく、時に狂気じみた賢治像が心に刺さりました。
公開されたばかりで、まだご覧になっていない人もいらっしゃるでしょうから
内容に関することや自分の思いを述べることは控えます。
でも、一つだけ。
物語の冒頭、生まれたばかりの長男賢治と対面する父政次郎。
部屋に入り喜びの声をあげながら我が子のもとへ近づいていくシーンで
何だか悲しくて、早々に泣けてきちゃったんです。
我が子の誕生という幸福の絶頂の
でも、その三十数年後にその子は自分より先に死んでしまうという
そんな悲痛をこの人は味わうことになるんだということが
そのシーンを観ながら不意に浮かんで
可哀想で悲しくて。
つい親の立場で泣いてしまいました。
子どもが親より先に死なないことは、それだけでもう親孝行なんですよね。
あ、それと、もう一つ^^;
物語の中で何度も登場する 「ありがとがんした」(ありがとうございました)
何とも、いい響きだなあと。
岩手の言葉だと思いますが
賢治が、妹のトシが、政次郎さんが、言う度に
しみじみと温かく、切ない気持ちにさせられました。
そう言えば、と思い出したのが
浅田次郎さん原作、中井貴一さん主演の映画『壬生義士伝』
息が苦しくなるほど大号泣した大好きな作品です。
中井さん演じる新選組隊士・吉村貫一郎がやはり岩手の南部藩出身で
彼の「ありがとがんした」も沁みましたねぇ…