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「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」 幡野広志


「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」


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著者は 幡野広志さん

1983年 東京生まれ

結婚され
2016年に息子さんが誕生。
2017年、多発性骨髄腫を発病されました。

ご自身のツイッターでは
写真家、元猟師、がん患者。
と自己紹介されています。


帯の言葉が簡潔に伝えていると思います。

限られた未来を父は息子の
限りないいのちにつなぐ
ーーーー谷川俊太郎

余命宣告を受けた35歳の父が
2歳の息子に伝えたい大切なこと


余命3年という診断を受け
息子さんに残したいのは言葉だと感じた幡野さん。
成長していくうえでの、地図のような、コンパスのような。
いっぽうで、自分の考えを道しるべのように振りかざして誘導するのではなく、
息子さんが自分で道をつくり、自分で歩いていくとき、
遠くからぼんやり見える灯台くらいでちょうどいいのだと。

具体的な解決の糸口
気持ちの持っていき方
幡野さんが経験した中で気づき身につけた
言わば方法論、処世術、発想の転換といった言葉がひとつひとつ語られています。

幸せの価値観は人それぞれ
自分にとって幸せとは何なのか
幸せになるためには
幸せであるためには

言葉たちの奥にはそんな究極なテーマがあると感じました。

残していかなければならない息子さんが幸せであるように
ただただ願う幡野さんの真剣な思いが伝わってきて
同じ親として切なくもありました。


また、幡野さんご自身も書かれているように
息子さんへの手紙であり、今読んでいる人への手紙でもあるのでしょう。
この本を読み、ハッと心を開かれる人もいるでしょうし
温かい優しみを受け取る人もいるでしょう。
ほぅ・・と安心し自分を取り戻す人もいるでしょう。
逆に、
率直な言葉で明確に書かれるので違和感や異議を持つ人もいるかもしれません。
それはそれでいい。それで構わない。
人それぞれだから。
幡野さんはそんな人な気がします。


お父さんの人生には嫌なこともたくさんあったけど、優くんにそれを経験させたいとは思いません。
でも、失敗させないように子どものためと親が線路を敷いたり、答えを与えるようなこともしたくない。
お父さんは優くんにとって、遠くでぼんやりと光る灯台のような存在でありたいです。
ぼんやりとした光は明るいときは見えなくても、暗い海で不安になったときに安心感をあたえます。

お父さんは優くんにとっては、子どものころにほしかった親ではないかもしれません。
それでもつらくなったり不安になったりしたときは、お父さんの言葉を思い出してみてください。
もしかしたら心の支えになるかもしれません。そしていつか優くんも大切な人の光になりますように。

(「おわりに」より抜粋)



最後、

いつか優くんも大切な人の光になりますように。

に泣けてしまいました。

息子さんの真の幸せを祈る思いの深さに。
ただそのことを祈る真っ直ぐさに。
そして・・

こんなふうに言われたかぁないでしょうが
この祈りの言葉の裏に、押し込められた幡野さんの悔しさと悲しみを感じるのです。


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実は、幡野さんは以前ヤフーブログをされていて
とあるところで彼のことを知った私は
そのブログを密かに拝見していました。
言葉もイイけど写真がとてもとても好きでした。
もちろん、プロの写真家でいらっしゃるのだから当たり前なのですが

エラそうに、且つ、ありきたりな言葉で申し訳ありませんが
見た瞬間に空気感がハイ!って伝わると言うか・・。

訂正、ビュン!かなぁ。

うーむ、やっぱりうまく言えません。