すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

山形蔵王で吠える


今年は今のところ暖冬で雪が少ないらしく
雪がまばらで青い草が覗くスキー場がニュースで映されていた。
その中に山形蔵王スキー場もあり、あんなに雪深い山も、と驚いた。

若い頃、シーズンになると友だちと毎週のようにスキーに出かけた。
大きなリュックを背負い、長いスキー板を抱え、通勤電車で職場へ。(今思えば、めっちゃ迷惑・・)
仕事が終わるとそのまま深夜バスで各地のスキー場へと向かった。
上越信越方面が多かったが、初めて山形蔵王に行った時、さらさらの雪に感動したものだ。
いわゆるパウダースノーで、転んでもベチャベチャにならずウエアに付いた雪がぱらぱらと落ちた。
スキー板も軽やかに樹氷の間を滑り降りたり、30度の壁を転がり落ちたり(笑)。
山形蔵王はとても遠かったのにも関わらず、友だちと何度も行った。

結婚前の夫とも一度行った。
山形蔵王の魅力にはまった私が誘った。
そして、付き合って初めての大喧嘩をしたのだった。
もう結婚も決まっていたかなぁ。

学生時代の友だちだった夫とは妙に腐れ縁の馴染んだ仲で
そのままの流れで付き合いだしたのだが
大らかで、まあ優しくて、難しくない奴と思っていたら
いやいやそれだけではなく、なかなかにメンドクサイ所があると判明。
とにかく何かと小うるさい。私に対して。
例えば、
ホームから小走りで電車に乗る夫、
十分間に合うと思い私がフツーに歩いて乗ると「どうしてサッサと乗らないの!」と怒る。
いや、夫は怒っていないそう。でも、なんだか怒られた気分。
仮に怒っていないとしても、そんなことをいちいち言うこと自体がアホらしくて
相手になる気にもならず「はいはい」と流す私。
そんなちっちゃいことがいくつもあったが
ホントにどうでもよくて「はいはい」「そうだね」「ごめんね」などと言いながらも
実際のところ、自分の中でそれほど我慢しているという感じでもなかったので
きっと自分にとってホントにどうでもいいことだったんだと思う。

そんな二人で行った山形蔵王スキー旅行。
ロープウェイを降りた山の上は一面銀世界。
晴れてはいたが、目を開けるのが辛いほどの強風だった。
其処で写真を撮ろうと言う。
わりといつもそう。
こちらの気分とか都合とか気にせず、自分のタイミングで写真を撮りたがる。
まあまあ、いいでしょう。写真、撮りましょう。
吹き荒れる風をまともに受けながら夫が差し示す場所に立つ。
夫は夫で風に体が揺れながらカメラを構えて「ハイ、笑って!」
目も開けられずどうしたってしかめっ面になるところを
必死に笑顔を作ろうとする私に夫は
「どうして笑わないの!そんなつまらなそうな顔をして」と怒った。

キレた。

もう!どうしていちいち怒るの!
つまらないわけじゃなくて強い風が顔に当たって笑えないんだよ!
それにいつもいつも怒ってる〇〇相手に笑顔なんか出来ないよ!
そっちだって笑ってないじゃん!
そんなにワタシといて腹が立つことばかりなら、もう一緒に居ない方がいいんじゃない?

そう言い捨ててサッサと滑り降りて行った。
マジ、もう別れてもいいと思った。

私からの突然の反撃にポカンとする夫の顔。今も憶えている
その後、私の後ろをつかず離れずついてきて、下に降りたところで「ごめん」って。


その後、結婚するわけだけど
あれ以来、微妙に力関係に変動があったかなぁ

ほろ苦くも、ちょっぴり愉快な山形蔵王の思い出です