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映画『ダウントン・アビー』観ました


ダウントン・アビー

全世界に旋風を巻き起こした大ヒット傑作ドラマシリーズが
遂にスクリーンへ!
  

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2010年9月の放送開始以来、
ゴールデングローブ賞エミー賞など数々の賞に輝き、
世界200以上の国と地域で大ヒットした傑作テレビシリーズ
ダウントン・アビー
2015年のシーズン6まで全52エピソードの舞台は、
1912年から25年のイギリスはヨークシャーのカントリー・ハウスと呼ばれる大邸宅。
グランサム伯爵クローリー家とその使用人たちの生活に
歴史上の出来事が織り込まれたヒューマン・ドラマだ。
娘しかいないクローリー家を守るため
長女の結婚相手を探すという一大テーマとともに、
使用人を含めたひとりひとりの喜びや悲しみ、人生の変化が描かれる。
壮麗なお屋敷のきらびやかな暮らしと、愛や嫉妬による事件が次々に起きるドラマ性、
ちりばめられたユーモアが、全世界を虜にした。
(公式サイトより)

その初の映画作品です。
1925年で幕を閉じたシーズン6の数年後
ダウントン・アビーに国王夫妻の訪問が告げられるところから、物語は始まります。
 
 
日本でもテレビシリーズが放送され
私はNHKプレミアムで毎週土曜8時30分~から観ていました。
何度目かの再放送だったと思います。

知る人ぞ知る
でも、知らない人は全く知らない
そんな当たり前が誠に当てはまる。

皆さんはご存じでしたか?

はまる人は異常にはまる
でも、はまらない人にはきっと1ミリもはまらない・・、かも。

私はめちゃくちゃはまりました。
毎週土曜日の朝が楽しみでたまらなかった。

それが映画になって戻ってきてくれたのです。
しかも、
キャストはテレビドラマと全く同じ。
お馴染みの面々であるというのだから
観に行かずにはいられません!
 
 
どうして自分はこんなにはまることになったのか。

思うに、まず、
伯爵家族や使用人たち一人一人に起こるドラマがテンポ良く描かれていて
次から次へと引き込まれる。
えー!来週はどうなるの??気になる~~
で終わるのが毎度のこと。
まるで韓流ドラマのよう(笑)

そして、
公式サイトにも書かれているように
深く温かいヒューマン・ドラマであることも惹きつけられる所以でしょう。
それは時に、
主人と使用人という立場を超えて
貴族と平民という身分もを超えて
心が通い、認め合う。
そんなシーンに胸が熱くなるのです。

ドラマの中で交わされる会話にも
イギリス人ってこういう人種なの!?って
ある意味カルチャーショックを受けました。
涼しい顔で皮肉の応酬
辛辣な言葉にはそれを上回る辛辣さで切り返し
自己主張ははっきり言い切る。
しかも、
言った方も言われた方も声を荒げることなく
何なら笑顔でしら~っと言ってのけるのだから
日本人とはまるで違う。
ただ、
そこには上級なユーモアが必ず含まれていて
言葉のチョイスがイケてるから
観ているこちらはクスっと笑ってしまう。
なかなかハード、でもお洒落で知的にも思える会話が実に小気味良くて
ああ、こういうのって“文化”なんだろうなぁって思います。
会話を楽しむ文化、自己主張する文化、ユーモアを大切にする文化。
家庭で、学校で、社会で、
学んで、鍛えられて、成熟していくものなのでしょうね。

描かれる貴族の暮らしもとても興味深いものがあります。
全てが煌びやかで質素倹約とは縁のない
けた外れにお金のかかっていそうな衣・食・住。
これぞイギリス貴族なのかと。
主人(貴族)と使用人の関係性や使用人の中での順位づけ
使用人の社会的な位置づけもうかがえて
当時のイギリス社会が垣間見えるようです。

そんなところが「ダウントン・アビー」にはまった理由でしょうか。

今回の映画も
そんな一ファンの勝手な思い入れを
十分に納得させてくれる安定の内容だったと思います。
ダウントン・アビー」の大好きポイントが映画全体に散りばめられていて
そうそう、これこれ、の心境で
にんまりでした。
 
 
ところで、
映画を観ていたシニアの女性。
スクリーンの中の会話にいちいち「ふふっ」とお笑いになる。
少し離れた席にいる私にも聞こえるくらいだから
けっこう大きな声なのでしょう。
女性の近くに座っている人が抗議の意図で大きく振り返っても全然気づきません。
最後まで「ふふっ」と笑いながら
多分、彼女自身は存分に楽しまれたことでしょう。

思いました。
大好きな「ダウントン・アビー」の人たちに会えて嬉しいんだろうなあ。
嬉しくて、嬉しくて
つい自宅で観ている感覚で楽しんでしまわれたのでしょう。
静かにスクリーンに集中して観たかった人にとっては
本当に困ったもので嫌だったでしょうが
もちろん自分も静かに集中派ですが
その女性の気持ちも分からなくはないと
こっそり思うのでした。

そういえば、
寅さんの映画を観に行った時もそうでした。
静かに集中して寅さんを楽しみたいと思う私の隣の隣で
映画が始まった途端、一緒に来た奥さんにいちいち解説する男性がいて
「あ、柴又の駅だね」
「あ、さくらだね。若いねぇ。可愛いねぇ」
この時の寅さんはこうだった、マドンナは誰それだったと
ちょいちょい声に出すのです。
しかもそこそこ大きめのボリュームで。

いや、わかってるから!
わかってなくても観てればわかるから!
あなたの説明は聞きたくないから!!

って、内心叫びました。
これを最後まで聞かされるのかと考えると最悪の気分でした。

ところが、ふと思ったのです。

寅さんなら「まあ、許してあげなさいよ」って言うかも

考えたらこの男性もよっぽど寅さんが好きなんでしょう。
大好きな寅さんに久しぶりに会えて
思いが溢れてしまったのかな。
そう思ってみたら不思議と気にならなくなったのです。

平日の昼間、「寅さん」とあって
シニアばかりのシアター。
大きな笑い声やひそひそ懐かしむ声
咳き込む音や鼻をすする音があちらこちらで起こり
終いには、
何か食べているのかガサガサ袋を開ける音までも。

静かに集中とはいきませんでしたが
寅さんはそんな有り様も笑って見ている気がして。

人に迷惑ばかりかけたけど憎めなくて
人を愛し人に愛された寅さんですからね。

(『ダウントン・アビー』が寅さんの話で終わってしまった・・)