すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

愚痴が正気を保ち、先の見えない現実を生きる助けになる

 

とある人のTwitterを拝見していて、とあるtweetを目にした。

それはヤフーニュースの、とある記事に対してのもの。

 

外出自粛、家族が息苦しい人へ

ーーー「愚痴が正気を保ち、先の見えない現実を生きる助けになる」

「家族同士とはいえ、適切な距離を取るほうが健全であり安全ーー」。新型コロナウイルス対策の外出自粛が長引いている。臨床心理士で、親子、夫婦関係など家族問題に関するカウンセリングを行う信田さよ子さんの元には、家の中の息苦しさや緊張感を訴える声が届いているという。DVや虐待の増加も懸念されている。

 

そのtweet信田さよ子さんの言葉を紹介していた。

 

「愚痴って大切なんですよ、グチることが私たちの正気を保ち、先の見えない現実を生きる助けになる」

「大事なのは、意見したり批判したりせず、ただ言いっ放し、聞きっ放しにすること」

 

たまたま見たTwitterだったが、まさに昨日の事が脳裏に蘇った。

 

 

こんな状況ではあったが、実は昨日、高校時代の友人二人と2年ぶりに会った。

共にバスケットボール部で厳しい練習に励んだ仲間。

その内の一人、キャプテンだった彼女は現在闘病中である。

 

2年前に会った時、ずい分と痩せて体調も優れない感じだったので内心心配していた。

その後少しして、病気が見つかった。

そこから彼女は猛然と病に立ち向かった、のだと思う。

もともと何に付けても研究熱心。

決して人任せにせず、自分が納得できる方法を探し、ひとつひとつ乗り越えてきた、のだと思う。

もちろんご主人と一緒に。ご主人に支えられながら、のだと思う。

のだと思う、と言うのは、病気が発覚してすぐ、彼女は私たちチームメイトとの連絡を絶ったのだ。

だけど、彼女のそうした行動は私たち仲間は理解できるものだった。

後ろ向きな気持ちで閉じたわけではない。

既に前を向いている。前を向いて動いている。彼女はそういう人だから。

きっと自分の病に立ち向かうことに集中したいのだろうと思った。

私たちの励ましや慰めも今の彼女には不要。

余計な気遣いに煩わされることをほんの少しも避けたいのだろう。

私たちはそう考え、黙って見守ることにした。

それについて私たちはこれっぽちの反感も無く受け入れられる。

そういう仲間なのだ。

もちろん、ほとんど状況がわからない中で心配は募るのだが

ご主人が傍にいてくれているから大丈夫。

私たちは彼女からの連絡を待とう。そう話した。

 

それから2年である。

昨日、突然彼女から電話があった。昼間の少しの時間だけど会えないかと。

あまりにも突然だったので駆け付けられたのは私ともう一人。

先に着いて待つ私たちの密かな不安をよそに、彼女はいつもの様に軽く手を振り現れた。

そしていつもの様に速攻で注文すると「あれ?まだ頼んでないの?」って(笑)

パワフルなマイペース具合は健在で、変わらない。

思いのほか元気な様子に言葉が詰まり泣きそうになったけど

そんな感慨に浸る間もなく鬼キャプテンのマシンガントークが始まった。

 

大変だった手術のこと。今も続く抗がん剤治療のこと。

どんなにきつく辛いかと思うが、淡々と話してくれる。

体調が良い時は食欲が凄いのだと楽し気に話して、私たちは笑った。

そんな中、思い余って打ち明けてくれたのはご主人への愚痴だった。

 

それはよくよく聴いていると全然特別な内容ではなく

妻が夫に対して、或いは女が男に対して抱く、よくある不満。

私ももう一人の友人も「わかるわかる!」と激しく同調し、それぞれの夫の不満をぶちまける。

「まったく男ってさ、そういうとこわかってないんだよねーー!」がお決まり。

おのれのことを棚に上げて、は承知の上だが

妻はそうして毒を吐くことで家に戻れば粛々と妻としての役目を果たせる。

少なくとも私はそう(苦笑)

 

自分の肉体的且つ精神的な痛みを、彼女が望む「理解」で理解してくれない夫。

彼には全く悪気は無い。男と女の違いゆえなのかもしれない。

だけど、夫の無理解な言動に彼女の心は健康な時以上に傷つき

しかし夫は全くその事に思い至らず、それがまた彼女を傷つける。

特別ではないが、彼女の愚痴は私たちのそれよりさらに深く悩ましいものに思えた。

 

献身的に支えてくれていることには本当に感謝している。

彼がいなければ自分は生きられない。

だから言ってはいけないと我慢もする。

それが辛い、と彼女は言った。

病を持つとそういうしんどさもあるんだよと教えてくれた。

本来、他で愚痴る前に相手にはっきり伝えるような、そんな彼女の

思いもしない今だった。

 

 

今日は今まで溜まっていたことを吐き出せて良かったと朗らかに笑った彼女。

またこうして愚痴ろう。

そう言って別れた。

 

 

そして、冒頭の言葉である。

 

愚痴が正気を保ち、先の見えない現実を生きる助けになる

 

愚痴はあまり言いたくないと思ってきた。

言うべきではない、ぐらいにカッコつけてきたかもしれない。

それでもしょっちゅう愚痴ったが

愚痴ることの大切さを考えながらではなかった。

しかし今日、彼女にとって愚痴ることが精神の解放だったのは確か。

苦しげに話し始めた顔が吐き出した後はサッパリと晴れやかだったから。

そもそもしっかり者の強い人間なのだ。自分の心を整理し少し立て直せたようだった。

愚痴ることで正気を保つということ、確かにあるのだろう。

先の見えない厳しい現実を生きる彼女にとって、それは確かに必要な助けだろうと思えた。

 

 

会えて良かった。

かけがえのない仲間のなんの助けにもなれないことがずっと辛かったが

彼女が抱え込んできた思いを吐き出す相手になれて良かった。

私たちもたくさん吐いて共に怒り共に笑った。

それで必死に闘っている彼女の少しでも助けになれたのなら嬉しい。

 

 

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