昨秋に亡くなった友人のお墓参りに行った。
無事納骨が済みましたとのご主人からの連絡を受け、仲間6人で初めて墓参したのが今年の春のこと。
2回目の今回も6人揃って彼女に会いに行くことが出来た。
集合時間の5分前に着いたら、もう皆集まっていて
「あれ?最後?ごめんね、お待たせしました」と言うと
「全然大丈夫。まだ5分前だよ」と返してくれる。
最後に着いた私だったが、思わず
「いやあ、うちら、○○(亡くなった友人)の躾が身に付いてるよねえ」と言うと
「そうだよ。遅れたらめっちゃ怒られたじゃん」
「ちょっとでも遅れたら置いて行かれたし」
と皆が言い、笑った。
高校時代、バスケットボール部で一緒だった仲間たち。
彼女は(鬼の)キャプテンだった。
こんなことを言うと空の上から怒鳴られそうだけど
彼女自身、けっこうルーズだったり自分に甘いところもあったのに
それは置いといて、私たちが少しでも時間に遅れるとかなり強めに怒ったものだ。
普段から遅れがちな一人が、大事な試合当日、集合時間にやっぱり遅れた時
キャプテンの彼女は至極冷静に「もう行くから」とさっさと歩き出し
私たちは「え?」と言いながらオロオロ。
当時、ケータイ電話なんてものは無いから、遅れた当人に連絡も出来ない。
待ち合わせ場所に着いて誰もいなかったらさすがに可哀想と、多分他のメンバーは思っただろうが
それを口にするのも憚られる雰囲気を彼女の背中に感じて、私たちは戸惑った。
結局、副キャプテンが「じゃあワタシ待ってるから」と、残ったのだった。
そんなわけで、私たちは時間厳守がすっかり身に付いた。
(鬼の)キャプテンがいなくなっても、躾けられたことが染みついている(笑)
……………
高校を卒業してからも、彼女の一声で私たちは集まった。
「みんなで会おう」とだけ言い、日程や場所を決めるのは誰かに投げる方式^^;
その強引な感じに、たまには自分で決めれば?と思うことも無きにしも非ずだったが
それを彼女に言うことは誰もしなかったな。
大人になり、社会人になり、結婚し、親になり
仕事に、プライベートに、親の介護に
それぞれの場所で、それぞれの立ち位置で、それぞれに生きていても
考えたら、彼女がいつも「みんなで会おう」と言ったから私たちはずっと離れずにいたのかもしれない。
そして、彼女がいなくなった今も彼女の元にこうして皆が集まっている。
近況を伝えあい、健康を確認し合い、友情を繋ぐ。
それはつまり彼女が私たちを繋いでくれているということに、胸が熱くなった。
今回のお墓参りも前回のお墓参りも、そして告別式も、空が真っ青に晴れて
そういえば彼女は最強の晴れ女だったことを思い出した。
例えば「北風と太陽」のお話なら、北風タイプでグイグイ来る鬼キャプテンだったが
晴れ女でもある彼女は、実は私たちの中心にいる太陽だったのだろう。
……………
強い自分を持ち、信念は曲げない。
白黒ハッキリしていて、他人に厳しい一面もあったが
だけど優しい人だったなあと、時の経過と共に増々その思いが強くなる。
ひよひよと逃げ出したり誤魔化したりの私は度々彼女に叱られもしたが
心が傷んでいる時にはいつも何気なく寄り添ってくれていて
そんな彼女の温もりに何度も慰められた。
彼女ともっと一緒に歳を取りたかった。
彼女の温かさが恋しい。
🌞
ベランダの手すりに……?
どうやら向こう側にトンボがとまっているよう( *´艸`)