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91歳!クリント・イーストウッド監督・主演~『クライ・マッチョ』


クリント・イーストウッド 監督・主演

『クライ・マッチョ』



www.youtube.com

半世紀以上にわたり一線で活躍を続ける名優にして、『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』で監督として2度のアカデミー賞に輝いたクリント・イーストウッド
監督デビューから50年、40作目となるアニバーサリー作品『クライ・マッチョ』は、彼が監督・主演を務める新たなマスターピースだ。
落ちぶれた元カウボーイと少年の旅を通して語られる人生とは――。
喜びや悲しみを背負い、なお人生を歩み続ける。
生きる上で必要な[強さ]とは何かを温かく、時にユーモラスに時に切なく語りかける。(公式サイト「INTRODUCTION」より)


クリント・イーストウッド、91歳の新作です。

彼が最後に主演した『運び屋』から3年。
今回、再び主演を務めるというからどうしても観たい。
90歳を超えたクリント・イーストウッド
(もしかしたら最後の)俳優としての姿をこの目に留めたいという思いもあり。

オミクロン株が蔓延している最中ですが
先月中旬に公開されてそろそろ空いてきたかなと地元の映画館に出かけました。

予想通り観客はまばらで、感染対策もしっかりとされていました。
自分自身もマスクをきちんとつけ、一言も発さず。
何とも言い訳がましいですが、観てきました(;^ω^)



↓ここからネタバレ注意です!



公式サイトの「INTRODUCTION」や「予告編」が
つまり導入部や予告でありながら、物語の全容を語っていると言えるかもしれません。
観終わってみると、それくらいテーマに向かう道筋はシンプルでストレートだったかな。

落ちぶれた元カウボーイと身も心も傷ついた少年の旅。
旅の中で様々な出来事があり、二人は語り合い、少しずつ心を通わせていく。

未知の土地で初めての人たちと触れ合い自信を取り戻していく少年。
真の[強さ](マッチョ)とは何かを少年に伝えようとする老いたカウボーイ。

よくあるロードムービーと言えばそう、のような。

そうして激しいアクションシーンや胸のすくようなどんでん返しもこれと言って無いまま
いつしかラストシーンへ。


実は口コミなどにはこの作品について残念といった評価もあるようです。
これまで彼の作品を観てきた人たちの中には
肩透かしを食らったかのような
そんな後味が残る人もいたのかもしれません。

正直言えば、私もラストシーンに「へ?」と思いましたから。
まだ何かあると内心身構えていたところを
さらりと終わってしまったので「あれ?」。


ただ、それが、91歳の彼が今作りたかった映画なのだなと
素直に思ったんですよね。

きっとそこには意味があるのだろうと。


そして、それとは別に
ハードボイルドな世界でいつも誰よりもマッチョだったクリント・イーストウッド
半世紀以上に渡り数々の作品に出演する中で歳を重ね
今、91歳の年老いたありのままの姿で演じて見せてくれている。

そのことがとても凄いことに思えて
観る者を楽しませ続けてくれた彼への感謝の気持ちが湧いてくるのです。


なので、この作品はこれで良いのだと思います。


エラそうに言わせていただければ
長年、彼の作品が大好きで観てきたからこその味わいを感じました。
幸せで、少し切ない。



そうそう、味わいと言えば

元カウボーイ役のクリント・イーストウッド
カウボーイハット姿には懐かしくてキュンとしましたねぇ。
乗馬シーンでのちょっとした手綱さばきも本当にカッコ良かったし
夕暮れのシーン、野宿しながらカウボーイハットをちょいとずらした横顔がセクシーで

ああ、こういうの昔観たなあとしみじみしました。


あと、音楽が良かった。
爽やかで明るいカントリー・ミュージック(かな?)が風景に合っていたし
途中、エンニオ・モリコーネ調とも思える旋律が聴こえた時は
『荒野の用心棒』から続く西部劇に出演した時の彼を思い出し、お!と思いました。

……………


中学生の頃にテレビの洋画劇場で観た『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』。

いわゆるマカロニ・ウェスタンと称された西部劇の中で
クリント・イーストウッドという俳優に魅了されてから半世紀の間。

ふり返れば、全てではないけれど多くの作品を観てきました。

ダーティハリー』シリーズ、『アルカトラズからの脱出』『ハートブレイク・リッジ勝利の戦場』『許されざる者』『パーフェクト・ワールド』『ミリオンダラー・ベイビー』『グラン・トリノ』『人生の特等席』『運び屋』etc……………
自分が観た中で特に好きなものは何かと考えますが、選抜し切れません。
(以前の記事では、それでも何とか『グラン・トリノ』に絞りましたが)


体も心もタフでマッチョ
クールかと思うと時に熱く
おのれの信念を決して曲げず
理不尽を許さず
その為には暴力も

そして負けない


クリント・イーストウッド演じる主人公はそんな人間ではなかったでしょうか。


そんな彼が、今回『クライ・マッチョ』で言うのです。


「人は自分をマッチョに見せたがる。……すべての答えを知ってる気になるが、老いと共に無知な自分を知る。気づいた時は手遅れなんだ」


半世紀以上マッチョを演じ続けてきたクリント・イーストウッド
年老いた元カウボーイの台詞が彼自身の言葉のようにも聞こえ
深い感慨を覚えずにはいられませんでした。


真の[強さ]マッチョとは何か。


91歳のクリント・イーストウッドが自分より若い者たちへ
今伝えたい思いなのでしょうか。



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