すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

映画『チョコレートドーナツ』~Any Day Now(いつの日か)


観たい新作映画があり、本当は映画館に行こうと考えていたのだけど
その作品が何と朝の8時25分からの1回だけ、ということを当日の朝になり知り
全然間に合わなくて諦めました。

そこで、録画していた映画があるのを思い出したのです。

それは少し前にNHKで放送されたもので
予備知識の全く無い作品でしたが

メルヘンチックで簡潔、でありながら
簡潔過ぎて逆に内容を想像しにくいタイトルに何となく惹かれ
録画したのでした。


観終えて、
この作品を録画した自分に グッジョブ👍

「良かった」の一言。

プロフィールに記す好きな映画が一つ増えました。

……………


『チョコレートドーナツ』アメリカ、2012年 ※日本公開は2014年)




公式サイトのイントロダクションはあまりにも簡潔な一文で始まっています。

1970年代のアメリカ・ブルックリンで実際にあった「障がいを持ち、母親に育児放棄された子どもと、家族のように過ごすゲイの話」。


けれどその中身は、97分間の作品とは思えないぐらいたっぷりと濃厚で充実。

出会うこと、求めること、守ること、愛すること……ゲイもダウン症も関係なく、魂のレベルで求め合う愛はすべての人の心に届く。


注意しないと多くを言い過ぎてしまう。
まだご覧になっていない方には、出来れば細かいあらすじなど知らないで観て欲しいので(^^)



主人公の一人、ルディが本当に素敵だった。

真っ当で、強くて、優しい。
真に美しい心を持ったひと。

自分が憧れる
自分もそうであれたらと願う
そんな人間だった。

演じたアラン・カミングも素晴らしかったです。


ラストでルディが歌う「I Shall Be Released 」も最高でした。

ルディの怒りや願いがほとばしる歌声に心が震えました。


歌詞の中に「Any Day Now(いつの日か)」というフレーズがあり
本作品の原題でもあります。


この歌、知りませんでしたが
ボブ・ディランが作り、様々なミュージシャンがカバーしてきた名曲だそう。
日本では忌野清志郎さんや岡林信康さんもそれぞれに意訳し歌われています。


スクリーン上の字幕での日本語歌詞です。


どんなものも代わりがきくという
どんな距離も近くはないのだと

一人一人の顔を覚えている
私をここに放り込んだ顔を

私の光がやって来るのが見える
西から東へ輝きながら

もうすぐ
今日にでも
私は解き放たれる


人は誰でも守られるべきだといい
その一方で打ちのめされろという

はっきり見える
もう一人の私が
この壁を越えたはるか向こうに

私の光がやって来るのが見える
西から東へ輝きながら

だからもうすぐ
今日にでも
私は解き放たれる


私の光がやって来るのが見える
西から東へ輝きながら

約束する
信じてほしい
愛する人

私たちは必ず解き放たれる

「I Shall Be Released 」より


……………


公式サイトに寄稿している村尾泰郎氏によると

今のアメリカからは考えられませんが
物語の舞台となった1979年当時はゲイであることが逮捕される充分な理由となり
前年の1978年にはアメリカ初のオープン・ゲイの市議会議員、ハーヴェイ・ミルクが暗殺されるなど
同性婚なんて考えられなかった時代だったそうです。
(自由の国アメリカでも40年前はそうだったのかと、全然勉強不足でした)

この作品でも信じ難い偏見や理不尽な差別が描かれています。

ただ、

本作は決してゲイについての映画ではない。
ゲイであること、ダウン症であることは、ひとつのメタファーに過ぎない。
本作では様々な理由で社会から見捨てられた孤独な人々が、自分たちの居場所を求めて格闘する物語なのだ。(村尾氏)


観ながら、どうしようもない憤りや虚しさで何度も涙が溢れました。

そんな中で、ルディとポールとマルコの間にあったハートフルなシーン…。

今思い出してもしみじみと温かい気持ちにさせてくれます。


この作品に出会えたことが嬉しいです。



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