すっとんきょうでゴメンナサイ

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「わたしの部屋」~初めての一人暮らしは


今週のお題「わたしの部屋」


40年前のこと。

社会人になって1年が経ち、一人暮らしを始めた私。

実家からだと通勤が大変だったのと
当時、父親と喧嘩ばかりで、これ以上一緒にいると父を心底嫌ってしまいそうで
ある日唐突に、もう家を出ようと考えたのでした。


親に対する当てつけの様な一人暮らし宣言は、我ながらとても子供じみていて
計画性も無けりゃ、貯金も無い。

雀の涙程度の資金での無謀な旅立ちでした。

なので、アパート物件選びの条件に賃貸料が安いことは必須。

且つ、通勤に便利な都内。


そうして見つけたのは、築30年以上経過した木造アパートでした。

住所は目黒区柿の木坂。

東横線学芸大学駅から徒歩15分の環七通り沿い。

6畳、4畳半の和室、1畳程の台所。風呂無し。共同トイレ。

賃貸料は確か2,7万円だったと思います。(40年前です)


その辺りは高級住宅地でもあり
少し離れた所にタモリさんが住んでいるとかいないとか。

そんな地域で2,7万円は破格。

しかも2部屋で、狭いとは言え台所も独立してある間取り。

何より、通勤時間がぐんと短縮される。


問題点は、風呂無しと共同トイレ。

風呂無しは近くに銭湯があるようなのでまだ何とかなるけど
共同トイレが最後まで引っ掛かりました。


契約前に内見に行った際
畳が新しいことと収納(押入れ)が多いこと
窓が多く明るく風通しの良さが気に入りました。

大家さんの人柄の良さも好印象だったな。


ただ、

共同トイレが水洗ではなく、汲み取り式だったのです。

いわゆる「ポットン便所」

しかも一つだけ。


…………………………( ̄ ‗ ̄;)


そのアパートは4世帯。

見ず知らずの人とたった一つの「ポットン便所」を共有することを思い描くと、やっぱり萎えました。

窓があったのか無かったのか、薄暗い電灯の下、何やらおどろおどろしい雰囲気も怖かったし。


それでも、結局、賃貸料の安さと通勤時間の短さに天秤が傾き
ここに住むことに決めたのでした。



初めての一人暮らし、「わたしの部屋」は

建物自体は古いけれど、部屋の中は畳や襖など新しく整えられていて
思った以上に居心地の良い空間でした。

3方向に窓があり、部屋の中を爽やかな風が通り抜けるのも嬉しかった。

台所の年代物のシンクを、入居時、大家さんが新しくしてくれていて
小綺麗になったキッチンで料理を作るのが楽しかった。
(ままごとの様な料理だったけど^m^)


初めての自分のテレビを買い、小さな冷蔵庫も買いました。

風呂が無く、銭湯の帰りにコインランドリーで洗濯したので洗濯機は無し。

下着など細々とした物は台所で手洗い。

外に干す際、ハンカチなどで見えないように隠すことを学んだのもこの時でした。
(それまでホントに何もしない娘でしたから)


同じ年頃でそんな人はいくらでもいたと思いますが
それでも、
少ない給料でやり繰りし
自分一人で暮らしを成り立たせていることが少し誇らしくもありました。


ただ、

そんな中で唯一、憂鬱なのはやっぱり「ポットン便所」。

いつまで経っても慣れなかったな。

そのうち、なるべく使わなくていいようにと考えました。


「ポットン便所」を使用するのは朝一番と就寝前の2回にして

会社で、出先で、銭湯で、
とにかく外で出来る限り用を済ませ
帰宅後は就寝前までトイレに行かない

就寝前の用を済ませたらさっさと寝る

そして夜中は絶対に起きない
夜中の「ポットン便所」は怖すぎるので…

翌朝、朝一番の用を済ましたらとっとと出かける


そんな感じで(;^ω^)


友人が泊まりに来ると、先ず「ポットン便所」の使い方をレクチャー。

最初は驚いていたけど、その後も何度か泊まりに来たので
友人はたいして抵抗が無かったのかも。


ただ、

私はやっぱりどうしても慣れなくて
1年後、両親が転勤で遠く離れる際に
「もう少し親が安心できるアパートに住みなさい、少し援助するから」
と言ってくれたのをあっさり有難く受け入れたのです。

(あんなに反抗的だったのに。軟弱者です^^;)


都内を離れ、通勤時間も増えましたが
新築、1DK(6畳和室、6畳程度のダイニングキッチン)、風呂、トイレ有り。

トイレはもちろんピカピカの水洗トイレ。

賃貸料は4万円だったか。

誰に気兼ねすることなく、清潔感溢れるトイレで用を足せる有難みをしみじみと味わいました。



その後、夫と結婚したので
一人暮らしの「わたしの部屋」はその二つ。

新築アパートの暮らしは快適そのものでした。

ただ、

柿の木坂の古いアパートの暮らしもそれはそれで悪くなかった。

大家さんのヤンチャな息子とのやり取りや
垣間見えるお隣さんのちょっと複雑な恋愛模様にドキドキしたことも懐かしい。

そのお隣さんの部屋でお茶をご馳走になったり
大家さんにおかずをおすそ分けしていただいたり。

都会の真ん中の一人暮らしでありながら、人の息遣いや温もりを身近に感じられて
無意識のうちに慰められていた気がします。


「ポットン便所」でなかったら、住み続けていたかもしれません(*´ω`*)



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実家の庭のスノーフレーク
一部、尾籠(びろう)な話で大変失礼しましたm(__)m。少しでも爽やかに……(^▽^;)


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