映画鑑賞が趣味で、洋画、邦画、アニメ映画、ドキュメンタリー映画など、何でも観ます。
プロフィールにもいくつか好きな映画を挙げていますが、
他にも何年経っても「いい映画だったなぁ」としみじみ思える作品があり、その一つです。
『阪急電車~片道15分の奇跡~』
2011年4月ロードショー公開されました。だからもう9年前か・・。
(最近、テレビで放送されたようですね)
その電車にさまざまな「愛」に悩み、やりきれない気持ちを抱えながら、偶然乗り合わせただけの乗客たちがいた。
後輩に婚約者を寝取られたOL。
彼氏のDVに悩む女子大生。
息子夫婦との関係がぎくしゃくしている老婦人。
セレブ気取りの奥様たちとの付き合いに疲弊する平凡な主婦。
おしゃれな大学になかなか馴染めない地方出身の男女。
年上の会社員と付き合いながら憧れの大学を諦めきれない女子高生。
電車内という限られた空間で、それぞれの人生がほんのちょっと重なり合い、影響し合い、そして離れていく―――。
数々の出会いが重なり、そこに生まれる小さな愛の奇跡。
勇気を持って踏み出せば、いつもとは全く違う景色が、人生が、そして素敵な出会いが“あなた”を待っている。
(オフィシャルサイトより)
電車が繋ぐ不思議な出会いの始まりは老婦人(宮本信子さん)の「よかったら話してみない?」から。
誰かが名前も知らない誰かに影響を与え、その誰かが又別の誰かに影響を与えていく。
それは意図しないことであるのだけど、確かに誰かの心を温かく溶かし、開き、響かせ、残っていく。
そんな奇跡のドラマの中で、登場人物たちはそれまでよりちょっと幸せな未来へと踏み出していくのです。
個人的には、老婦人役の宮本信子さんが素晴らしかった。
まず宮本さんのセリフが本当にイイ。
思いを伝える語り口が繊細な言葉で埋め尽くされて、余計な言葉、聞き苦しい言葉が一切無く、
しかも、闘うべき相手にはよくぞそこまで的確な言葉で言ってくれたと胸がすく思い。
もとよりこれは脚本が素晴らしかったに他なりません。
それに加えて宮本信子さんの演技力が言葉に力と熱を与えたと思うのです。
ラストに近づいたあるシーンでは号泣でした。
他の観客はほとんど泣いておらず、何故ここでそんなにも?という場面なのかもしれませんが、
突然涙が溢れました。
悲しいわけではなく、猛烈に感動したのでした。
理不尽に立ち向かう宮本さん演じる老婦人に心の中でエールを送りながら、
ああでありたい、ああでなければ、そんな思いで心震えたこと、覚えています。
原作は、有川浩さん。
脚本は、(大好きな)岡田惠和さん。
監督は、三宅喜重さん。
草彅剛くんの『僕の――』三部作や、当時毎回涙無しでは観られなかった『白い春』など。
このトリオなら自分のツボにはまるのは当然でした。
・・・
中学生の頃西宮に住んでいた私にとって、阪急今津線は宝塚へ遊びに行く時に乗った懐かしい電車です。
当時、今津線沿線はどちらかと言えばのどかで、えんじ色の電車も古めかしかった記憶があるので、
映画の中であんなお洒落な感じになっているのには驚きました。
今津線には“仁川”という駅があり、小学生の時名古屋の社宅で一緒だった幼なじみのご家族が引っ越して住んでいました。
まだ小学生だった1970年、大阪万博に家族で行った帰り、そのお宅に私一人で一週間ほどお世話になったことがあります。
トップスターの男役鳳蘭さんが子ども心にも素敵で、キラキラと眩い世界に興奮したこと、懐かしく思い出します。