すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

学生時代

 
近頃、テレビやラジオなどで60~80年代の昭和歌謡を耳にすることが多くなった。
いわゆる “懐メロ(懐かしのメロディ)”である。
 
子どもだった頃、父が父の世代の“懐メロ番組”を観ると言い出すたびに、
「ええ~~またぁ。面白くないよ、そんなの」と露骨に反対したものだが、
今や、50代夫婦の我々もそういった番組を観て、
娘たちに呆れられながらも、我らの世代の懐メロを楽しんでいる。
 
先日はペギー葉山さんが歌う「学生時代」を聴いた。
夫はこの歌を聴くと、なんともハイソサエティな趣を感じて、詩やメロディに心がときめくらしい。
汗と泥にまみれた男子高生活3年間を送った彼としては、
なんだかとても清純な、なんだかとても美しい学生生活が浮かび、憧れにも似た気持ちになるようだ。
自分は、と言うと
その歌詞に高校時代の思い出が重なり、やはり甘酸っぱい思いに満たされる。
つたのからまるチャペルは無かったけれど、
秋の日の図書館のノートとインクのにおい今でも鼻先に蘇るようだし、
枯葉の散る窓辺でぼんやりと、ただ外を眺めていた自分も思い出せる。
テニス・コートでは白いウエアの同級生が人気の的だったなぁ。
キャンプファイヤーで憧れの先輩と数分間チェンジ無しのフォークダンスを踊ったことも、多分一生忘れられない。
 
 
そしてもう一つ、
いつもふっと懐かしさと
未だに切なさで学生時代を思い出す歌があって。
 
松任谷由実さんの「卒業写真」
 
悲しいことがあると 開く皮の表紙
卒業写真のあの人は やさしい目をしてる
町で見かけたとき 何も言えなかった
卒業写真の面影が そのままだったから
 
人ごみに流されて 変わってゆく私を
あなたはときどき 遠くでしかって
 
話しかけるように ゆれる柳の下を
通った道さえ今はもう 電車から見るだけ
 
あの頃の生き方を あなたは忘れないで
あなたは私の 青春そのもの
 
人ごみに流されて 変わってゆく私を
あなたはときどき 遠くでしかって
あなたは私の 青春そのもの
 
 
憧れた人は先輩だったから同じ卒業写真に収まることはなかったけど。
会えなくなって数年後、行き過ぎる電車の窓に唐突にその人の顔が見えた時のこと、
一瞬息が止まって世界が止まったかのように感じた時のこと、
柳ではないけど、大きなケヤキの木が立つ道を通った日のこと、
遠く前を歩くその人の後ろ姿をただ見ていたこと、
夢を追うその人の生き方が危なっかしくも純粋に映ったあの頃、
そんなこんなが蘇っていつも悲しいような切なさに包まれる。
 
あの頃の生き方を あなたは忘れないで
あなたは私の 青春そのもの
 
 
カラオケでは思いっきり感情こもります