昨日、大相撲秋場所が終った。
若い頃からスー女を自認し、大相撲を愛してきた。
その時々で贔屓の力士がいたが、その中でも特に応援していたのが元関脇の嘉風関。
決して大きくない体で、常に真っ直ぐにぶつかっていく潔さが大好きだった。
逃げず変化せず前へ前へと押し相撲を貫く、愚直とも思える姿勢が好き。
大怪我してからは、押し切れず引いてしまうこともあり、そんな時はたいてい負けるのが残念。
「引いちゃダメ!引いちゃダメ!」とテレビ前で叫んでいる。
その貴景勝関が今場所、優勝決定戦で前頭15枚目の熱海富士関を下し優勝した。
その前の本割での関脇大栄翔関との対戦は、押し相撲同士の迫力あるものだった。
己の相撲を貫く意地の張り合いが観ていてワクワクさせられた。
結果、貴景勝関が勝ち、優勝決定戦へと進んだ。
しかし、私の中には不安があった。
大栄翔関と目一杯の取組をして、体力が残っているのかな…?
片や、21歳になったばかりの熱海富士関は十分休憩して、体力も回復しているだろう。
本割で熱海富士関と対戦した時、貴景勝関は真正面でぶつかり押し切って勝った。
しかし、優勝決定戦で同じようなことが出来るのか…?
果たして、貴景勝関は立ち合いで変化をし、勝った。
そんな勝ち方をするとは全く予想していなかったが
勝負が終ってみれば、心の片隅でそんな勝ち方を想像していたのかもしれない。
だから不安だったのかな…
そんな貴景勝関を見たくなかったのだ。
貴景勝関が優勝して良かったという思いはもちろんある。
ただ、表彰式や優勝インタビューは観ずにチャンネルを替えた。
そんなことがあって、
昨夜遅く、ネットニュースを目にした。
かど番だった大関貴景勝(27)=常盤山=が本割で関脇大栄翔を破り、優勝決定戦では東前頭15枚目の21歳・熱海富士を下し4度目の優勝を決めた。優勝決定戦では平幕力士を相手に立ち合いで変化を見せたことに批判も相次いだが、優勝インタビューでの発言を評価する声も上がった。
優勝決定戦の直後にはNHKテレビで解説を務めた舞の海秀平さんが「勝つにしても、立ち合いで一つ当たってほしかった。相手は平幕だから受け止めてほしかった」とコメント。ネット上でも「大関なんだからしっかり受け止めなくちゃ」「予想通りの最悪の決まり手」「勝つことよりも大事なことありますよ」「この相撲じゃ横綱になれない」などの批判が飛びかった。
だが、表彰式途中の優勝インタビューで「絶対負けられないという強い気持ち」で臨んだときっぱりと語り、変化について聞かれると「右差しを徹底して封じようと思った。ああいう形で決まるとは思わなかったですけど、きちっと集中して自分のやるべきことをやりました」と狙いを明かした。さらに破った熱海富士について「将来必ず強くなると思います。そのために自分は壁になれるように強くなるだけだと思います」と語った。
(中日スポーツより)
貴景勝関の優勝インタビューに感動したという声が多く上がっているそうだ。
批判されることも承知で、貴景勝関なりの覚悟を決めて臨んだ取組だったんだ。
だから変化したことについて問われても堂々と答えられる。
横綱不在の場所で大関としての責任を強く意識したことも当然なのだ。
その上での彼の相撲に、わかったような気で残念だと思ったことが申し訳ない。
そもそも、
厳しい鍛錬を重ね努力し続けて来た彼の相撲に、あれこれ言えるステージに自分はいないのだった。