すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

出来ること


2、3日前の新聞、読者の投稿欄は「はがきの絆」というタイトルでした。

その方のお母様は介護老人保健施設に入所なさっていて、
毎日顔を出せない代わりに度々はがきを出されていました。
唱歌や懐メロがお好きなお母様のために「故郷」や「湖畔の宿」などの歌詞を書き、それに合う絵も添えて。
お見舞いに行かれた際には、はがきを見ながら一緒に歌われたそうです。
4年前、お母様は亡くなられ、戻ってきた荷物の中に入っていたはがきをご覧になって、
「食べ物の染みなどで汚れていたが、母と私にしかわからない時間が流れているように思え、いとおしかった」
とお書きになっています。
しばらくして、ふと施設でのある出来事を思い出されたそうです。
その時、ロビーのテーブルについていらっしゃったお母様の目の前には はがきが置かれてあり、
と、隣りに座っていらっしゃった入所者の女性が手を伸ばし、
そのはがきをつかんで自分の懐に入れてしまったのです。
その光景をご覧になって、投稿者の方は胸をつかれたのでした。
「ねたましかったのだろう」とも書かれています。
けれど、そのことで憤慨なさったのでは決してなく、
そのような行動をしてしまった入所者の女性の寂しさや悲しさを想い、
深く同情を寄せられたのでした。
それから、施設の職員や入所者の方に毎日はがきを出されるようになり、
その習慣は今も続けておられるとのことです。

お母様を大切に愛おしく想われる気持ちにも胸の中が震えるように感動しましたが
その大切なお母様に送ったはがきをとってしまった女性に対しても
一瞬は驚かれたのでしょうが、すぐにその寂しさに気づき労わり、深く心を寄せられ
毎日はがきを出すようになったという
投稿者の方の分け隔てのない慈愛のお気持ちと真っ直ぐな行動力に痛く感動させられました。
自分もそういう人になりたい、そういう人でありたいと強く憧れます。

それから、
「はがきの絆」のタイトルのように
たった一枚のはがきでもそこに相手を想う気持ちを乗せれば
こんなにたくさんの幸せや慰めや繋がりを紡ぎ運ぶことが出来るのだと
ちょっと頭をポコンと叩かれたようでした。
(こんなこと 今さらですよね・・)
たいそうなことをやろうとして 出来ない出来ないとへこたれていたのです。
この投稿者の方のように自分の出来ることで誰かに喜んでもらう
決して気負わず、けれど揺るぎなく、です。

まだまだ 全然 未熟者です。