すっとんきょうでゴメンナサイ

風の吹くまま気の向くまま

無心に生きる


ここのところ毎週末に夫の実家に帰り
義母の見舞いと実家の片付けをしている
片付けは義母から頼まれたことではなく
我々から言い出したことである

であるが
その事の想像以上の困難さに既に気持ちはへこたれてしまっている
未だ先が見えず
しかし目の前には何度も立ちすくんだ膨大な量の物たちが平然と存在している
いったい、いつ、何処に、たどり着けるのか
そもそも到達点はあるのかさえも今はまだ信じられない
頭の中を冷静に整理するように
優先順位だけを手がかりに黙々と手を動かすのみ

昨日もそうして
疲れ切って我が家に戻ってきた
そう言えば
最近ゆっくり新聞も読めていないと
配達されたままの形で机の上に置かれた土曜日の新聞を開いた


朝日新聞 「ひと」欄

夫と息子の「生きた証し」の短歌集を出版  
小畑幸子さん(79)

大学ノートを一行も無駄にせず、しっかりした筆跡でびっしり。つづった言葉には、失った家族と、共に暮らす老犬「太刀(たち)」への思いがあふれている。
岩手県大槌町の自宅が津波で流されて長男を亡くし、夫が病死、自分も乳がんに。家族や自分の「生きた証し」を残そうとペンを執った。思いをめぐらせると悲しくて書けなかった。しかし、瞬間の気持ちを切り取る短歌なら詠めた。回想録も「太刀になったつもり」なら書けた。
月命日の11日、「生きた証」を出版した。短歌と太刀の語りを相聞歌のように交互に編む。町の市民団体が「震災検証の見本。震災で生まれた文化」と持ちかけた。大槌町を撮り続ける写真家や彼の友人の編集者が無償で手伝った。

頼りにしてきた太刀はもう15歳。脳腫瘍を患い、夜中には部屋を徘徊するようになった。「老老介護」を見かねた親類が引き取ったが、衰えた体で幅30m近い川を渡って戻ってきた。「守ってきてくれたお礼に、最後まで一緒に」と、昼寝しながら世話をする。

「字にすることでだんだん前向きになった」。短歌は800首を超え、回想録も最近やっと自分の目線で書けるようになった。

津波すべての物はなくせども 我が胸のうち宝は永遠に

「書くことで、もう一度、失った物を残していきたい」

 

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途中で不意に涙が溢れた

無心に、ただそれだけを一途に生きるものがいる
耐え難い悲しみの中
無口に、胸のうちにある宝を一つ一つ大切に編むことで前を向くひとがいる

大層なことをやった気になって
ああ、まったく疲れたと不遜な気持ちのままこれを読んだとき
片や自分は
自ら望んで始めたことなのに
心と体には不平不満が渦巻いている
怒りの矛先をつい何かに向けてしまう
嫌味な感情を憂さ晴らしのように誰かに吐いている

そんなみっともなさを自覚させられた

唖然とするほど
自分自身が情けなかった


ああ・・、
無心に生きたい

囚われずわだかまらず
心がいつもポカンと開けているような
雑念や私欲に右往左往させられず
信ずるものに一途でいられるような

そして・・、
無口でありたい

余計なことは言わず
傷つけるための言葉を選ばず
嫌味にならず
傲慢にならず


そうなりたい
難しいんだろうけど・・