映画『天外者(てんがらもん)』観ました。
激動の幕末から明治初期、日本の未来のために駆け抜けた男がいた ——
五代友厚(ごだいともあつ)武士の魂と商人の才を持つこの男、薩摩藩士から明治政府役人を経て実業家となり、今日に続く商都大阪の基礎を作り上げた。東の渋沢栄一、西の五代友厚とも評される功績を挙げながらも、長らく歴史に埋もれていた。近年、多くの人の研究により、その真価が再認識される。
「名もいらぬ、実もいらぬ、ただ未来のために」とひたすら大いなる目標に向かったその志と熱い思いが、時代を超えて今、解き放たれる。(公式サイトより)
五代友厚。
その名はNHK朝ドラ『あさが来た』(2015年)で初めて知りました。
男気とセクシーさを兼ね備えた人物をディーン・フジオカさんが演じて大人気となり、亡くなる時には「五代ロス」の言葉も生まれたほど。
ただ、五代友厚は主人公ではなかったので、それほど深く掘り下げて描かれてはいなかったと思います。
土佐の坂本龍馬、岩崎弥太郎、長州の伊藤博文ら同年代の若者たちと学び、遊び、夢を語りあい、さらには高杉晋作、勝海舟、大久保利通、西郷隆盛、大隈重信、トーマス・グラバーといった日本を語る上で欠くことが出来ない偉人・傑物たちとも交わり、友として彼らを支えた。
近代日本経済の基礎を構築し稀代の≪天外者(てんがらもん)=凄まじい才能の持ち主≫と呼ばれた五代友厚。
武士の身でありながらも上海に渡って蒸気船を購入し、海外貿易による商業立国を説き、イギリスへ留学生を送り出し、自らもヨーロッパを視察する。
明治政府が誕生すると政府役人となるが、大阪を「東洋のマンチェスター」に発展させるため実業家に転身。
貨幣造幣局の設立、電信・鉄道・紡績・鉱山など多くの事業を精力的に手がけ、現在の大阪証券取引所・大阪商工会議所・大阪市立大学など膨大な数の組織や企業の設立に尽力した。(公式サイトより)
今回映画を観た後、少し調べてみて、五代友厚のあまりにも大きく幅広い功績を知ることとなるのでした。
あくまでも個人的な感想ですが、
この映画において彼の生き様や成し遂げてきたことを十分に掘り下げて描いているかと問われれば、少し物足りない感が残りました。
さらーっと表面的になぞったと言うか。
ただ、思ったんですよね。
これほどの刺激的な人生を送り、これだけの功績を残した人物を描くのに109分は短すぎる。
あれも入れたい、これも入れなきゃと考えたらどうしたってこうなるかな、と。
脚本作りはさぞ悩ましかったのでは。
来年のNHK大河ドラマは渋沢栄一だそうですが、五代友厚も時間をかけてじっくり描いたものを観てみたいなぁと思った次第です。
……………
加えて、彼の持つ生真面目さと繊細さとほのぼのとする優しさが、五代友厚という人物を更に魅力的にしたのではないでしょうか。
思えば、彼の演技はいつもそうだった気がします。それが彼の魅力でもありました。
そんな三浦春馬さんが今はいないということが、不思議であるような、腑に落ちないような…そんな感覚がスクリーンを観ながら時折やってきては、ふっと寂しくなりました。
彼の演じた笑い顔や泣き顔を観ながら彼は何を考えていたのかなと思ってみたり。
わかろうはずもありませんが。
三浦春馬さんが亡くなった時、同世代の役者さんたちはもちろん、先輩後輩の役者さんたちも彼の死を悼みました。
それらの言葉から、彼が多くの人から慕われ愛されていたことが伝わりました。
役者としてだけでなく、人としても素晴らしい真に優しいひとだったんだなぁと。
(ネタバレしたくないのですが…)ラストシーンを観ながらふと彼とリンクするようで、心がまたきゅっと切なくなるのでした。
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