『PERFECT DAYS』 観ました
2023年に日本・ドイツ合作で制作され
キャッチコピーは「こんなふうに生きていけたなら」
「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」などで知られるドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースが、役所広司を主演に迎え、東京・渋谷を舞台にトイレの清掃員の男が送る日々の小さな揺らぎを描いたドラマ。
2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所が日本人俳優としては「誰も知らない」の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞した。(「映画.com」より)
Wikipediaによると
映画製作のきっかけは、渋谷区内17か所の公共トイレを刷新するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」だそう
プロジェクトを主導した柳井康治氏(ファーストリテイリング取締役)と、これに協力した高崎卓馬氏が、活動のPRを目的とした短編オムニバス映画を計画
その監督としてヴィム・ヴェンダースに白羽の矢が立てられたとのことです
あらすじです
東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山。
淡々とした同じ毎日を繰り返しているようにみえるが、彼にとって日々は常に新鮮な小さな喜びに満ちている。
昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読むことが楽しみであり、人生は風に揺れる木のようでもあった。
そして木が好きな平山は、いつも小さなフィルムカメラを持ち歩き、自身を重ねるかのように木々の写真を撮っていた。
そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、彼の過去に少しずつ光が当たっていく。(「映画.com」より)
自分の観た映画を記事にする時
もし、これから観たいと思われる人がいるのなら、なるべく真っ白な状態で味わって欲しくて、簡単な「あらすじ」さえも省くことがあります
映画のサイトで紹介されている上記の文章は、この映画の「あらすじ」の過多でもなく不足でもなく
作品の伝えたいことの邪魔をしないと思うので載せました
「あらすじ」を知っていても知らずとも
物語の終わりには、きっとあまりにも多様なそれぞれの受け止め方や感情が湧き起こるだろうと
極端に言えば「あらすじ」を知って観ても、最後に湧き上がる感情は自分が無意識に想定していたものと違うところにあった
私はそうでした
自分にとって、この作品でとても印象的だったのは音楽です
本作では予告編で印象的に流れるルー・リードの代表曲「Perfect Day」をはじめ、音楽に造詣の深いヴェンダース監督のセンスが光る数々の楽曲が選ばれ、風景や登場人物の心象の一部のように用いられている。(「映画.com」より)
これは是非、鑑賞時に十分に楽しんで欲しいので、あまり説明はしたくないかな
音楽の使われ方
音楽が好きな人ならいちいちグッとくるのではないでしょうか
主人公が積み重ねた『PERFECT DAYS』
多くの言葉を発しない彼の、目には見えず耳には聞こえない心情に自分の心を寄せ
共感しながら、切なくなりながら、ラストシーンまで観続けました
キャッチコピーは「こんなふうに生きていけたなら」ですが
物語の終わりは、そんな簡単な、ある意味ありきたりな前向きの言葉で言ってしまえるような単純なものではなく…
役所広司さん、圧巻でした
……………
タイトルの『PERFECT DAYS』
完璧な日々、といったところでしょうか
「完璧な日々」とは何かと考えた時
何一つ不満の無い衣食住、安定し尊敬もされる職業に就き、周囲にも恵まれ
財力、権力をもってして己の思い通りに事が進められる
当然と言うか、そんな状況が浮かびもします
ただ、そんなにたくさんは選べない、何か一つ手離したくないものはと言われたら
過剰な自意識に足掻き苦しんだ自分には
ありのままに生きられること
あるがままに生きられること
そんな日々を手に出来たら、それが「PERFECT DAYS」なのだろうと思います
ありのままに、己を自由にして
それによって訪れる「孤独」や「寂しさ」
付き纏うほんの少しの「後悔」をも覚悟の上
ヘタレの自分には難しいけれど、きっとそうなのだと思います