先日、河島英五さんの名曲「時代おくれ」を耳にしました。
1986年8月リリース。
彼の歌では「酒と泪と男と女」や「野風増~お前が20才になったら」などが好きで、「酒と泪と男と女」はカラオケのレパートリーでもあります。
わすれてしまいたいことやァ~ どうしようもないさみしさにィ~♪
と歌い出した途端、それこそどうしようもない感情にドハマりし、周りの迷惑顧みず歌い上げるのが常。
河島英五さんの歌は、どんな人にもある哀しさや愚かさを、優しく慰め、力強く励ましてくれると感じます。
久しぶりに聴いた「時代おくれ」に、数年前に見たある光景が浮かびました。
その日、夫の不在をねらっているかのような誘いが来て、突然の飲み会となりました。
初めのお店がいっぱいで断られ、次に行った所は、まぁどちらかと言えば昔ながらの居酒屋風。
店内に入るとあちらこちらでスーツ姿のサラリーマンたちが目に入りました。
安いお酒と安い肴で飲める気楽で有難い場所ですが、近頃のこじゃれたお店に若者や女性たちは集まっているのか、その居酒屋にはそういった客がほとんどいませんでした。
「うちらみたいなの、おれへんね」と囁きながら、女三人席についたわけです。
しばらく飲んでいて、ふと気がつくと、少し先輩と思われる男性二人がしみじみと、にこやかに、向かい合って飲んでいらっしゃる。
静かに飲んで、ほんのり赤く酔って、穏やかな笑顔で言葉を交わしていらっしゃる。
なんとも清々しく、愚痴のかけらも無いようなお二人のご様子に、何故だかわからないけど、今までこの社会を支えて頑張ってくださってありがとうございましたと、お礼を申し上げたい気分に駆られてしまいました。
そして、お酒はこうして飲むものかと教えていただいた気がしました。
流行りの店に響いている若者たちの明るく弾けた話し声も、たくましくなった女性たちの笑い声も聞こえません。
いつもは賑やかな私たちですが、エイヒレやししゃもをつまみながらしみじみとお酒を飲んだ夜でした。
何てことない光景でした。
ですが、その時の自分には素敵な映画のワンシーンのようにも映って、今でも鮮明に残っています。
一日二杯の酒を飲み
さかなは特にこだわらず
マイクが来たなら 微笑んで
十八番(おはこ)を一つ 歌うだけ
妻には涙を見せないで
子供に愚痴をきかせずに
男の嘆きは ほろ酔いで
酒場の隅に置いて行く
目立たぬように はしゃがぬように
似合わぬことは無理をせず
人の心を見つめつづける
時代おくれの男になりたい
「時代おくれ」より 作詞:阿久悠
……………
学生の頃ですから40年程前、新宿駅南口の(当時の)国鉄と小田急線の乗換え口辺りで河島英五さんをお見かけしたことがあります。
テレビではとても大きい人のように見えていたのですが、わりと普通の人だなぁと思ったのを覚えています。
河島英五さんは2001年4月病気の為、48歳で急死されました。
突然の訃報がひどくショックで、彼の歌が自分に大きな影響を与えてくれていたことを改めて思ったのでした。
天国でもギターを抱えあの声で歌っていらっしゃるでしょうか (❁´◡`❁)
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